・We are not in Kansas any more...
穏やかな天気の週末。妻が用事で出かけ、僕は自宅に「引き子守り」つつ、年末年始にかけての様々な用事を片付け(ようとし)た。庭仕事も少し。今年はなんだか暖かいまま冬に突入したので、草花の様子がいつもと違って、花をつけたまま枯れていたりする。グラスの根元の地面には、早くもキク科系「外来種」がいくつもロゼットを広げている。しかし暖かい。このまま、暖かい冬が続くようになって、霜柱なんて過去のとこになったりするんだろうか。明治神宮内苑ではキウイの自生が問題になっているらしいが、神宮内苑や浜離宮で、シメコロシクワノキがタブノキを襲う、なんていうのも時間の問題かもしれないぞ。表参道のケヤキ並木からスパニッシュモスが垂れ下がったりとか。トレンド先取りしてウチの庭にもパパイヤでも植えるか(たぶん枯れる)。
■宮崎政雄、麻生恵「多摩丘陵におけるフットパス計画による里山景観保全への取り組み」(ランドスケープ研究 68(2), 2004, pp126-129)
多摩丘陵の一部、町田側に残る谷戸地形の農村景観を保全する試みの一環として、大学の研究室と地元NPOが協力し、イギリスの「フットパス」を参照しつつ、散歩道ネットワーク地図を作って活動した成果報告。こういう地表系のプローチは好き。「歩き」が手がかりとして(というか足がかり)使えるツールだ、というのは、以前、オタベらが「抜け道フィールドワーク」で気がついていたことだった。そうか、「散歩させろ」も結構、ツカミとしてはいいかもしれないぞ。田中さんの「ジオウォーカー」にも繋がるかもしれないし。
風景を制度に絡め取る装置化だ、とか、こうしたガイドブックは「教化」だとか、そういう指摘はありそうだが、まあ「取ったもん勝ち」である。開発に任せておいて、あとになって浮世絵に描いてみせるよりはずっと好感が持てる。むろん、こういう「観光資源型」作戦に、開発の論理に対抗しうるようなチカラは期待できないけれど、逆にこのくらい「弱い」ほうが安心できるように思ったり。「取り返し」がきくので。
僕自身は里山と心中する気はないが、この報告が対象にしている地域の様子にはびっくりしたことがある。多摩ニュータウンの南端の「尾根道路」を超えた裏側の一帯で、ほんとに絵に描いたみたいな「谷戸」の風景が残っている。キノシタ先生の「和ストラル・ミシュラン」でも★を一杯もらえそうなくらいである。また特に、ニュータウン側から尾根を超えて入ってゆくとその「落差」がすごい。あんな、オズの魔法使い的風景展開は他ではなかなか味わえないんじゃないだろうか。雪でも降ったときにまた行ってみたいな。