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スリバチナイト参加者のみなさま
会場で紹介しました、「スリバチ本に登場するスリバチ一覧地形図」はこちらにあります。
https://www.dropbox.com/sh/50s4qif7vthwljh/hSk4uDhMT3
PDF形式の画像ファイルです。
こちらは、石川初(いしかわはじめ)のweblogです。
2013年7月20日
スリバチナイト参加者のみなさま
会場で紹介しました、「スリバチ本に登場するスリバチ一覧地形図」はこちらにあります。
https://www.dropbox.com/sh/50s4qif7vthwljh/hSk4uDhMT3
PDF形式の画像ファイルです。
2012年9月20日
履修生、受講生各位
表記、キャンパス付近の地形図は、以下のリンク先に置いてあります。
自由にダウンロードして使って下さい。
http://www.flickr.com/photos/67542066@N00/sets/72157631580204194/
2012年9月15日
ランドスケール・ブック ― 地上へのまなざし (現代建築家コンセプト・シリーズ)
お陰様で発売されました。ありがとうございます。
さて、早速、手にとって呼んで頂いた方々からいくつも、誤記や誤植などのご指摘を頂きつつあります。
あれほど直前まで編集部に詰めて見なおしたつもりだったのに、ミスがあるもので。
お詫び申し上げます。
読んだ下さった方で何か間違いに気づかれましたら、下のコメント欄やメールなどでお知らせ頂けましたら大変幸いです。
以下が正しいテキストです:
2012年9月 8日
何かを世に問う、というような立派な本であるわけでもなく、手に取って笑ってもらえればいいなあ、というようなささやかな本なのだが、それでも「一冊モノにする」には実に様々な人のお世話になることであり、かつそれをきっかけにこれまで自分がどれほど多くの人のお世話になり、無視できない影響を受け、支えられ生かされてきたかということを、あらためて思い起こし噛み締めずにはおれない、ということがよくわかった。私が本に記したり、各地で喋ったりしている事柄に、少しでも面白い箇所があるとすれば、それは主にこのような方々から得たものが元になっている。
本を形にするにあたっては、版元のリクシル出版の高田さん、編集の飯尾さんやメディアデザイン研究所の皆さんに、ひとかたならずお世話になった。本のあとがきなどにはよく、担当編集者のお力なくしてはこの本はなかった、というような謝辞があるが、今はその気持ちがよくわかる。私の筆が進まないせいでスケジュールが遅れまくったなかで待って下さった高田さんの寛容なるご辛抱と、何度もの議論を通して私を励まし、叱咤くださった飯尾さんの熱意がなければ、そもそもこの企画は実現していない。飯尾さんは、飯尾さんへの謝辞を本の前書きに載せるのを固辞されたので、あらためてここで感謝申し上げておきたい。ありがとうございました。
まずは毎日いつも、お互いに刺激を与え合いながら仕事をしている職場の同僚たちに。
それからかつて同期入社の仲間として知遇を得、その後もずっと素晴らしい影響を受け続けているリビングワールドの西村佳哲、そしてリビングワールドを介して知り合ったたりほさんはじめ多くの人たちに。
同じく、最初の勤め先で同期入社の一人として知り合ったスリバチ学会の皆川典久、スリバチ学会で出会った多くの筋金入りフィールドワーカーの皆さんに。
大山顕さん、そしてドボクやヤバ景の関連でいつも集う皆さんに。今回、大山さんには写真もお借りした。
ここ数年、ご一緒しているマッピングナイトでの渡邉英徳さん、地図ファンの皆さんに。
また、主にオンラインから繋がりを得た、地理学、地形学、考古学からGISやデジタル地図まで、いわゆる「ジオクラスタ」の皆さん。
Kashmir3Dという、どう賞賛しても足りないようなツールを開発、無償で提供し続けて下さっている杉本智彦さんに。Kashmir3DがなければいまこうしてGPSなんかで遊んでいる私はいない。
かつて「ランドスケープ批評宣言」をともに作ったメンバー。ほぼ同世代のランドスケープの実務者や研究者のグループで集まっては議論した数年間はいまだに自分の思考の基礎になっている。また、そのグループが集まるきっかけになった学生ワークショップを組織した霜田亮祐さんと仲間たち。
そして、その「ランドスケープ批評宣言」が世に出るきっかけを作って下さった五十嵐太郎さん。五十嵐さんにはその後、六本木ヒルズの都市展への参加に誘って頂き、そこで南泰裕さんや東京ピクニッククラブの太田さん伊藤さん、「グラウンディング」でご一緒することになった田中浩也さん、福島の佐藤師匠などと知り合う機会を頂いた。佐藤さんの「建築あそび」で八重樫さん松川さん藤村さんらともお会いしたし、五十嵐さんにはその後建築雑誌の編集委員への参加も声をかけて頂いて、勉強になった。優秀な建築のプロに囲まれることはそれ自体いつも新鮮なフィールドワークである。
いままで、文章を書いたり発表したりする機会を与えて下さった出版社や編集者の皆さんに。
地図メカ元永二朗さんはじめ、「地図ナイト」の同志、「グラウンディング」の同志たちに。地図ナイトの衝撃はいまだに自分の「動機」のひとつになっている。
関東学院大学の建築学科、中津秀之さんをはじめ先生方に。非常勤で担当した「デザインスタジオ2」でご一緒した田島さん、田中さんらとともに、履修してくれた学生の皆さんからも大いに刺激を受けた。自分の街歩きの方法論のほとんどはデザスタ2に発している。中津さんにお誘い頂いて参加した「東京キャナル」も、今にして思えば視野を広げるきっかけだった。
千葉大学園芸学部、木下剛さんはじめ赤坂先生や三谷先生、「緑地環境学実習」を履修した学生の皆さんに。
SFC、加藤文俊さんはじめ先生方に。加藤研の仕事にはいつも啓発されている。
早稲田大学、建築学科の中谷礼仁さん、後藤先生はじめ先生方、「設計演習A」でご一緒している福島さん、そして履修学生の皆さんに。この演習からは、もしかして学生よりも私が一番勉強させてもらっているんじゃないかと思うほど、毎回刺激を受けている。何人かの学生さんには今回、図版として作品をお借りした。掲載を快諾くださった皆さんにお礼申し上げたい。
中谷さんには、5年前の「瀝青会」のキックオフ時に声をかけて頂いてからずっとお世話になっている。日本の民家再訪から、進行中の千年村調査まで、またその途中でご一緒したいくつもの企画で、もはやそれ以前に自分がどう考えていたか思い出せないほどの影響を受けている。また、その都度、ご一緒した瀝青会の皆さん、大阪市立大のメンバー、早稲田のメンバー、千年村の早稲田班、千葉大班のメンバーにも。
母校の農大造園の先生方。ともに学んだ仲間たち。
母校の基督教独立学園の先生方。ともに修道院生活みたいな3年間を過ごした仲間たち。
私の家族、エンジニアで、いまは反原発に没頭している父、恵泉の園芸出身でいまだに植物園のガイドボランティアをしている母、北海道で酪農をしている妹一家、そしていつも私を慰め、励まし支えてくれ、ともに地上を歩いてくれている妻と子供たちに。
2011年8月23日
Kashmir3D、数値地図5mメッシュ(標高)東京都区部表示用のパレットの一例です。
標高5m以下を青系のグラデーション、7mから100mまでを黄系のグラデーションで表示するように調節したもの。
日本地図センターの「東京時層地図」の地形表示用としても使われているものです。
表示結果はこんな風です。
以下、区切り線より下の行をぜんぶコピーして、テキストファイルにペーストし、「.pal」の拡張子で保存(ファイル名は何でも)、kashmir/pal/ のディレクトリに保存して、Kashimir3Dを起動してください。
5mメッシュ東京スペシャル
KASHMIRPALETTE
;
; Palette color list for Kashmir.
;
Sub=5mメッシュ東京スペシャル
;
SeaArea=0,0,0
; Sea Color (R,G,B)
Level0=27,27,27 ; Color at Altitude: 0m (R,G,B)
Level10=24,31,31 ; Color at Altitude: 10m (R,G,B)
Level20=33,41,41 ; Color at Altitude: 20m (R,G,B)
Level40=84,107,107 ; Color at Altitude: 40m (R,G,B)
Level50=126,154,154 ; Color at Altitude: 50m (R,G,B)
Level70=68,60,28 ; Color at Altitude: 70m (R,G,B)
Level100=75,66,31 ; Color at Altitude: 100m (R,G,B)
Level150=98,86,40 ; Color at Altitude: 150m (R,G,B)
Level200=125,107,51 ; Color at Altitude: 200m (R,G,B)
Level300=177,152,73 ; Color at Altitude: 300m (R,G,B)
Level400=216,203,158 ; Color at Altitude: 400m (R,G,B)
Level1000=253,249,236 ; Color at Altitude: 1000m (R,G,B)
2009年10月16日
(あるいは、エアタグの「時間性」について)。
「セカイカメラ」のエアタグについては、つい「位置」に関心が向きがちだが、もうひとつ見逃せない属性として「時間」がある。ポストされるひとつひとつのタグには、「時間」が刻印されている。これらは、位置の情報と同じくらい「固有」な情報である。タグは、タギングの瞬間の「時刻」を切り取って固定する。ポストすることは、その時刻を位置にマップすることである。つまり、「エアタギング」というのは、「固有の時間を固有の位置に結びつける」という行為なのである。
ようするに、これって「場所に時刻スタンプを押してゆくみたいなものだ」ということだ。
と、そのように考えてみると、ひと目で時間の推移が写真の様子に表れるような、たとえば刻々と色が変わる日暮れ時の空などを、移動しながら撮影してポストして、あとでそれを眺めると、「時間の流れが空間の奥行きになって見える」みたいな風景が見えるんじゃないか、と思ったわけだ。
そこで実験。
日没時を狙って、空の色が濃くなってゆくのを見ながら、10mずつくらい前進しては空を入れた写真を撮って、ポストしてゆく。
ある程度時間間隔をあけないと空の色が変わらないため、仕事をしながら10分おきに事務所の外へ走り出たり戻ったり、不審な動きを繰り返してしまった。
また、エアタグの表示フィルタを「自分のタグ」だけにし、西方向をセカイカメラで見る。
おお。これはきれいだ。これは面白い。
遠い写真ほど、夕焼けが濃く、空が暗くなっている。キャプチャーで再現しきれないのが惜しい。
面白いのは、ポストした写真群を辿りながら西へ歩いてゆくにつれて、画面に流れてくる空の写真の時間が「進む」ことだ。
歩くことで時間が早回しに進む。
遠くほど、あとの時間。
この、「移動」と「時間」が結びついた、不思議な感じ。
多摩川の土手とか、そういう大きなスケールで開けた場所などで、」もっとずらっと並べてやると、さらに効果が現れるかもしれない。
ちょっと眩暈がするような実験であった。
最近、同じような機能をもった「Layer」というアプリがリリースされたことで、セカイカメラの特性が逆に浮き上がったように思う。デジタル地図を実空間の映像に効率よく重ねることを主眼にしたらしい「Layer」(地面にグリッドが描かれているのは象徴的だ)と比べると、セカイカメラには「普段眺めている世界の見方を少し奇妙に引っ張って広げる」というような不思議さがある。僕は、たとえばGoogleマップよりもGoogleEarthのほうに感じるような、その「不思議さ」にこそ惹かれるし、ツールとしての可能性を勝手に感じちゃうのである。頑張れセカイカメラ。
2009年10月14日
セカイカメラが何なのかを知らない方には恐縮だが、以下はほとんど、iPhoneと、最近話題の「セカイカメラ」というアプリの(潜在的)ユーザー向けの記事なのです。
ということを思いついたわけだ。
実験。東京駅から皇居へ向かう「行幸通り」地上部。
ここは、丸の内口から日比谷通りまで、新しいピカピカの地下道が通っていて、そのCGのような地下風景と、地上で見える皇居やお堀端の風景とのギャップが激しく印象的な場所である。
まず、地上を、東京駅側から歩いて、10歩おきくらいに写真を撮り、その場に投稿。
風景写真を「撒いてゆく」ような感じ。
撮影/ポストしながら日比谷通りまで歩き、いったんそこで引き返して、地下へ下りる。
丸の内はけっこうエアタグが混雑しているので、表示フィルタを「自分のタグだけ見る」ようにセットする。
おおお。潜望鏡浮上! 位置表示の誤差があるが(厳密には一列に並ぶはず)、それなりに奥行きのある写真群になった。
画面のキャプチャーだと、エア写真の浮遊する様子を伝えるのが難しいが、画像はどちらも実際の風景を捉えているのに、この何ともいえない非現実感というか。背景の地下道のCG風のせいもあるかもしれない。
ひとつを捕まえて表示。ほぼ同じ位置の地上が見えている(ただし、現在ではなく、先ほど自分が撮った、少し過去の風景)
予想していたよりも面白い眺めであった。もっと写真を撮りまくっても効果があるかもしれないが、やりすぎると「タグ汚染」になるかもしれない。
アンドロイドケータイだと、ストリートビューで「現在位置表示」ができるらしいから、もっと連続的な潜望鏡風景を見れるのかもしれない。銀座線で青山通りの地下を走りながら地上のストリートビューをシンクロさせて見る、なんて面白そうだと思うのだが、圏外になっちゃうからだめか。
2009年9月17日
これは、建築系ラジオ r4 現代建築を語る・聞く・読む|全体討議 東京論──新しい地形としての東京4を聴取されて、これ音声だけじゃわけわかんない、と思われた方(ほとんどそうでしょうが)のためのサポート記事です。
上記の公開収録で石川が上映したプレゼンテーションの抜粋と、関連サイト/ページへのリンクがあります。画像が多いため、読み込みに時間がかかるかも知れませんが、ご容赦下さい。
2009年9月 5日
街の通りのバス停。
これはなかなか、格好いい。
2009年7月 1日
【第2週】明示的、記号的
■レクチャー
前回のまとめ:意味、機能、物体性
・「どのようであるか」ということ:変化しない形態的特徴を、ここでは「物体性」と呼ぶ。
・物体性とはすなわち、既にそこにある「固有性」にほかならない
特に使える概念
・意味→「何であるか」
・形態→「どのようであるか」
・機能→「どのようであるか」がいかに「何であるか」を支えているか
■宿題の発表とコメント
・意図された事物の記号論的な解釈へのヒント
・「座る」行為と外部環境との関係を手がかりに、「意図された事物(広い意味でのデザイン)」や「意図せざる事物」の意味について考える
・座りうる空間/環境
・対象物について、それが「座りうる」と見なされる特徴(要素、様子)は何か」という言い方で記述すること。
・あるものは一瞥で「座る」とわかる。あるものはわかりにくい。
・ひと目でその意味や機能を認識できる「様子」を、「その意味が明示されている」と言おう。
保存用定義:有意識的・自覚的に対象の意味が伝達されること
・たとえばベンチは、座る施設だということを、自他共に了解している(通じるつもりで設置している)
・形態としての明示:「らしさ」にも通じる。期待される機能と様子が一致。「わかりやすい」。
・明示の効用:意味が明示されていることは私たちにどのように作用するか
・本棚を考えよ。すべてを自分だけで把握することは不可能。
・私たちは、周囲の環境に多くの情報を預けて生きている。
・一方で、環境が「意味」で埋まると、それはそれで息苦しい。
・鉄道施設:意味の海。あらゆる「面」を意味あるメッセージで埋めようとするかのような光景。
→駅の場合、物体的特徴と「意味」の乖離が大きすぎる。(伝達する情報が多量で、物体に翻訳できない)
・しかし、駅のホームのベンチはひと目で「座る施設」に見える(ように作られている)
質問:これが「座りうる」に見えるのはなぜか。
■ワーキング
課題:手元にある、採集した「座りうる」事例に対して、「座る」をより強調する操作を提案してください。
■レクチャー
・座りうるように見せる:共感を得るためには、往々にして、広く共有されている「座る」イメージを引き出す必要がある
・「どのようであるか」よりも、「何であるか」という意味が、より明示されている場合を、記号的に明示されていると呼ぼう。
・記号:何らかの意味を示すもの。文字や図形、特定の形態、・・・
・交通標識:記号の典型。
・交通標識が示す物事と、標識の記号には、必然的な関連がない。
・赤色が「止まれ」を指すという意味は、交通ルールを学習した集団にしか通用しない。
記号:
・記号が示す意味と記号との間には、必然的な関連はない。(←重要)
(「何であるか」と「どのようであるか」の関係を思い出そう)
・記号は、それを認知する集団内でしか通用しない。
→限定された集団内のルールである
・より広く通用する記号にするほど、デザインは没個性的になってゆく
→世界中どこでもひと目でわかる意味・・
・一般的に、記号性を強める(認知を『やさしく』する)ほど、固有性は失われる傾向がある。(ありきたりになる)
・共有されていない記号:はずすと意味不明なグラフィックになる。
・しかし一方で、記号はルールである。あくまでそのルールが通じる集団を前提とする。
・「ルール」は自動的に、そのルールが通用するフィールドを想定する。つまり、ルールはそのルールの範囲(社会)を規定する。
質問:「立ち入り禁止」を、記号的でなく実現するには、どのような物体的様態があるか?
・思わず座ることで「ベンチ性」が発見される:転用の余地があった物体
・記号的なベンチは、作る側によって、あらかじめ「意味」が限定されている。
・より記号的であることには良し悪しがある。
・使う側の心理的負担を軽減する一方で、使い方を限定し、関与の可能性を狭める。
・デザイナーはしばしば、「押し付けがましくない、でもわかりやすい」という落としどころを探る。
・記号性の強い形態は、それがあるということによって、その環境に意味が生まれることがある。
・非・記号的な明示が可能なこともある。(アフォーダンス論)
記号的なデザインが施された施設への、解析/接近のコツ:
・記号の意味を解析する(記号が示すもの、またその記号が用いられるという行為が示すメタ記号性)
・その記号が共有される集団を想定する
・物体的形態へ置き換え可能かという検証
■次週までの宿題の出題
これまでの用語による概念の応用編として、街の「境界」に注目する。
課題:付近で、明示された境界を構成する要素を採集し、その境界で意図されている選択と排除の対象を想定し、その機能を維持したまま、形態をよりフレンドリーにする操作を提案してください。
・A4たて使いのフォーマット。
・現況は写真を貼ってもよいが、提案は内容を説明できるスケッチを示すこと。
・説明のテキストを併記する。
→選択と排除の対象。抽出した機能。提案する操作の具体的内容。
■補遺
参考文献:
ちょっと待ってくれ。
■野暮な注意
・デザインの美しさを評価していない。図は、それはまあ上手なほうが心は動かされはするが、それはあくまでも、内容の説明を明確にするための媒体である。
・オリジナリティ(たかだかクラスの中での他の人との違い)を評価していない。誰かと同じ対象でも全く構わないし、うまく言えている説明や描き方は素早く真似をすべき。
・明晰に、論理的な説明ができること。冴えたアイデアだけでは評価しない。
・疑問は共有しよう。時間内に質問してくれると有難い。
■レクチャー
・境界:街の風景をつくる最も大きな要因のひとつ。
・地図:線と面で描かれている。特に線である。面の表現も、輪郭を線で描くことで表している。
・地理的に表現された社会のルールが記載されているのが地図。
・地図上で最も重要な要素として記載されているのは「境界」である。地図の大部分は、土地の「利用/所有区分」が描かれている。
問い:地図には何が描かれているか。それはどのように(何をもって)描かれているか
・地図:平面に配置表現された、社会のルールが記載された図。
・運用上、地図に記されたような、「取り決め」や「ルール」を可視化し、物体的に作用するものにしておくことが有効である。
・こうした、制度や概念を、実空間のモノで作り直すことを「施設化」と言おう。
施設化された境界に課された機能:
・「選択」と「排除」の行使。
・これらをここでは「セキュリティ」と呼ぼう。
問い:写真による事例。何に対して、どのようなセキュリティが作動しているか?
・物体的?何に対してどのように作用するか?
・記号的?誰にどのように何を発信するか?
■宿題の発表とコメント
・発表者の名前
・どこで発見した物件か
・どのような境界が明示されているか
・その境界で実行される選択と排除の対象
・それを実現する要素
・提案、何をどのように操作することで、形態を友好的に見せかけるか
(フレンドリーの解釈には幅があってもよい)
■レクチャー
・セキュリティは、ある領域の内部の秩序を維持するために、出入りする構成要素に対して選別的に働きかけるという作用をする。
・セキュリティは、「内部」を想定する。(内部が構想されることで、セキュリティのコンセプトが浮上する)
・最も規模が大きく、厳しく行われているセキュリティはどこか?(国境?)
・最も身近なセキュリティはどこか?(免疫?消化?)
・内部と外部は相対的。車道と歩道の関係。
・「歩車道境界」をフレンドリーにしようとしたデザイン:歩行者と車両の運行条件を近づける(いわゆる歩車共存)
・町の風景はセキュリティでできていると言っても過言ではない。
・セキュリティはその性格上、どうしても「攻撃的」になる。
・だから、それを見た目で穏やかにするというデザインが求められることがある。
・排除エレメントが目立つ場合、排除エレメントの存在自体がセキュリティの記号となっている。
・ここに、デザインが導入されて、機能を維持しながら記号性を消すという事例が増えている。
・今日、「制御」の機能は不可視化し、意識されなくなってゆく傾向がある。「環境化」。
■ワーキング
宿題で採集した境界のセキュリティを再度解析し、その排除性を非・記号的に下げるデザインを提案してください。
tips:
・排除される要素を、いかに取り込んで共存することが可能か?
・内部と外部の「差」に働きかけることはできるか?
■レクチャー
今週のまとめ:セキュリティを読み解くポイント。
・内部はどこか
・内部に要求される秩序の水準はどのようなものか
セキュリティのデザインの可能性
・装置のデザイン:環境化への加担・内部/外部の相対的差異への挑戦
・「外部」とのつきあいかた:一生ものの課題となりうる
■次週は休み。次々週までの宿題
「植栽」に目を向けてみることにする。たとえば、樹木が植えられていることで、どのような事態が出現しているか?
課題:付近で、何らかの意図が認められる植栽を3つ以上特定し、その植栽について、
1.その植栽があることで、どのような事態が出現しているかを、できるだけ詳しく記述してください。
2.その植栽が果たしている、あるいはその植栽に期待されている機能と効果を抽出し、植物ではない装置や施設で置き換える提案をしてください。
その際に、提案する装置のほうが優れている点を挙げて説明するように。
・A4たて使いのフォーマット。
・現況は写真を貼ってもよいが、提案は内容を説明できるスケッチを示すこと。
・説明のテキストを併記する。
■補遺
対象のスケールを変えて観察してみれば、「セキュリティの総量は不変である」という言い方ができるかもしれない。局所的に緩和したつもりでも、それはそこで見えるところから「追いやった」だけで、全体としてのセキュリティは変わっていないことが多い。住宅をオープンにすることを可能にするのは、しばしば住宅地全体のセキュリティの向上である。これを「ゲーテッドコミュニティのジレンマ」と呼ぼう。
ところで、宿題の「フレンドリーにする」という問いに対して、多くの回答が植栽を施すという手法であったことが興味深い。植栽の「フレンドリーさ」を否定はしないが、私たちは植栽のプロ(の端くれ)である(になる)のであり、できればこう、「クールに熟知している」というのが格好いいんじゃないかと思う。次回はそのヒントの共有を目指す。
今週の参考文献:
・マイク・デイヴィス著、村山敏勝、日比野啓訳「要塞都市LA 増補新版」(青土社、2008)
増補版が出ているとは知らなかった。これは買おう。
・五十嵐太郎 「過防備都市」 (中公新書ラクレ、2004)
「セキュリティの総量不変の法則」を念頭にして読んでみると非常に面白い。
・東浩紀、大澤真幸「自由を考える―9・11以降の現代思想」(NHKブックス、2003)
とても「緑地環境学実習」の参考図書に見えないな。ちなみに、マクドナルドの客用椅子が固いのは長居させずに客の回転数を上げるためだ、というのは都市伝説らしい。