2005年1月30日

ゲニウス・ロ樹

日曜日。
先に記した、60年前の空撮で見つけた、気になる「巨木」の跡地を訪問する。

現在の空撮で確認すると、調布第一小学校と新甲州街道との境目あたりにある。道路に当たっていたら完全にアウトだし、小学校の敷地でも、校庭の真ん中とかならともかく、裏手のようだし、残存はほぼ絶望的だろうと思っていた。のだが、自宅に持っていた、調布市教育委員会発行「調布今昔写真集」(1974)の中、「昭和28年に移転したばかりの第一小」という写真に、それらしい「樹影」を発見。

写真の説明文に、「背景の森は若松稲荷神社です」とある。おおっと。稲荷社だったのだ。これは、痕跡が残っている可能性もあるぞ。

というわけで日曜日。
2歳の息子と7ヶ月の娘を文字通り小脇に抱えて現地調査。第一小学校へ行ってみた。

現在の第一小学校の様子。

学校の敷地沿いに、甲州街道側へ回る。

調布駅前交差点から西へほんの数十メートル。
電通大の門の向かいあたり、歩道沿いに稲荷社はあった。

若松稲荷。

小学校の敷地に食い込むように建っていた。
小さな境内は、キレイに掃除されていて、この神社がまだ「現役」であることを窺わせている。
あきらかに老齢の巨木が数本、残っている。

目通り(幹周)ざっと3.5m。

樹種は、Quercus myrsinaefolia、シラカシだった。ケヤキやクスノキといった牧歌的なものじゃない。潜在自然植生じゃないか!(←突っ込み不要)
たぶん、写っていたのは単独の樹木ではなくて、この神社の樹林だったのだろう。そのうちのひとつがこの木だったことは大いにあり得る。根本は傷みが進んでいて、余命はあまり長くないように見えた。


落雷か、風害だろうか。地上10数メートルで折れた跡がある。以前はさぞ雄大な樹形だっただろう。


鳥居を挟んで向かい側にアラカシの大木。一見それほど大きな木に見えないが、根元が株立ち状になっているところを見ると、これも巨樹が一度倒れてまた萌芽したのかもしれない。

以上、土地の記憶に耳を澄ます週末プロジェクトのささやけき成果でした。

これは、フィールドワークを終えて「キツネワンワン」に別れを告げている調査員2号。

2005年1月26日

トリの目

カシミール3D Ver8.5.0 バージョンアップ情報

うわー。カシミール3Dがまた、すごいことになった。
すでに、これなくして仕事できないくらい使っているが、近年、仕事以外のカシミール率がますます上昇しつつあり、睡眠時間が削られる。。。

せーの、パッチ・コリドー・マトリクス!

  • Monica G. Turner、Robert V. O’Neil、Robert H. Gardner著、中越 信和、原 慶太郎監訳「景観生態学—生態学からの新しい景観理論とその応用」文一総合出版、2004

  • 和訳が出てたのか!出版は去年の9月。見過ごしていた。なぜだろう。きっと「景観生態学」なんて訳すからだ。題名で、無意識に「景観?パス」と素通りしていたんだと思う。景観ねえ。下手に日本語に当てはめずにそれこそカタカナで「ランドスケープエコロジー」でいいじゃんかよ。と思うんだけど。
    それはそれとして、やっぱり日本語版は読むのもラクだし、いや、よかった。すばらしい。ネタ満載。しばらく、鞄の中に入れて持ち歩くことになりそうだ。「日本景観生態学会」というのがある、ということも初めて知った。なんという迂闊な。入会したい。どこへ問い合わせればよいのやら。

    先週今週のその他の通勤本:

  • 広瀬和雄「日本考古学の通説を疑う」洋泉社新書y、2003

  • なぜか古墳に興味がわいてきた(なぜかじゃねえよ)ので。これは読了。本文中、著者が執拗に考古学界の問題糾弾を繰り返していて、まあ、どの分野にも似たような「問題」はあるのだなあと。その点はちょっと辟易するが、前方後円墳のカタチについて、方形はヒトの領分、円形はカミの領分、なんて解釈に鳥肌。

  • 日本数理社会学会監修「社会を<モデル>でみる 数理社会学への招待」勁草書房、2004

  • いきなりは難しそうだが、様々なサブ分野を網羅していそうだし、まあわかるところから拾い読みしようかと思って。

    見知らぬ過去

    60年前の調布風景の続き。
    jm@foo: 航空写真を並べてつなげて眺める
    で元永さんが作られた画像がすごく便利なので、それを勝手に使い回し。

    先に書いたように、カシミールの地図画像作成機能を使うと、画像を256色BMPに変換して「ビットマップ地図」として開き、ポイントを3つほど選んで緯度経度を入力するだけで、「なんちゃってオルソ化」した空中写真になる。実に簡単。作業時間5分。これはラクだなあ。もっと広範囲作ってくれないでしょうか元永さん(笑)。

    調布駅付近から北東方向。

    白く映っている四角い区画は、当時の調布第一小学校、現在の南口広場だ。中央の、樹林の濃いところは布田天神と電通大。甲州街道に沿って、宿場町はまさにシュクネギ状態。


    取り貯めた「eTrex軌跡」を表示してみた。武蔵境通りとか、三鷹通りとか、新甲州街道とか、当時は道路がなかったものもあるが、その他はおおむね、現在の道路に引き継がれている。こうして自分が普段歩いている位置を重ねて見ると、なんかこう、時間の層をめくってみたような不思議な気分になるな。


    画面中央に、ものすごい大きさの樹木が映っている。画像で測るかぎり、樹冠は30mくらいある。クスノキか、ケヤキか。屋敷林でなく、農地の真ん中に独立している。樹高は20〜30mあっただろう。京王線から見えたんじゃないだろうか。


    まったく同じ場所と構図で、2000年撮影の空中写真(プロアトラス航空写真・SkyAtlas東京横浜を使用)。巨木のあった場所は、新甲州街道に当たったか、あるいは現在の第一小学校の敷地内。いずれにせよ、切り株の残存も望み薄だが、見に行ってみよう。
    これを見ると、街道は「幹線道路」に変化したものの、そのことで用途地域的に「街道沿いのメリット」を供しているため、敷地のシュクネギ性が保たれて、それが細長いビルを林立させる先行形態になっている(たぶん)。

    2005年1月25日

    調布1946

    jm@foo: 航空写真を並べてつなげて眺める
    うわ。これはクレバーだ。使えるじゃんか。フォトスティッチ。

    せっかくなので僕も、以前に作ったファイルをアップロード(なんか、ほとんど「地図Night-2 オンライン前哨戦」といったおもむきだな)。ファイルの日付を見たら、2年以上も前だった。その頃は、こんなのを見せる相手が周囲にいなかったので、「死蔵」してあったのだ。ターゲット地域は元永さんの作業対象と同じ。

    僕は、フォトショップに読み込んで、手作業でつなげた。いや、時間がかかった。そのあと、解像度を落としてBMP形式にし、カシミールに「ビットマップ地図」として読み込んで、目標物を適当に選んで緯度経度を与えて「なんちゃって簡易オルソ化」をした。画像の歪みまでは修整できないので多少のずれはあるものの、地形データと合成したりすると、ちょっと迫力のあるリアリティが出る。

    昭和21年ごろの調布。

    佐須付近の上空から深大寺方向を見る。
    ちょっと崖の位置がずれているが、佐須の水田の谷津地形がよくわかる。
    この谷津は現在でも水田風景の残る、調布では貴重な地域。


    八雲台付近上空から深大寺方向を見る。
    野川が農地の中を蛇行する護岸のない川であったことがわかる。ただ、画面左上、現在の武蔵境通りあたりまでは河川改修が進んでいる。全体に屋敷林が目立つが、意外にも崖地には緑が少ない。やはり、現在崖線を覆う樹林は、戦後になって(放置されて)成長したようだ。


    ほぼ同じ箇所を見たもの。1992年撮影。佐須に残る水田と、直線に改修された野川。


    これが、なんと甲州街道。現在の旧甲州街道の布田駅前あたりの上空から新宿方向を見る。
    街道に面した屋敷群と、そのバックヤードを覆う屋敷林が、街道沿いを一種のグリーンベルトにしていたことが見える。その背後には農地が短冊状の地割りになって続いている。

    僕は特に懐古趣味ではないんだけど、この甲州街道は見てみたかったな。

    2005年1月23日

    大阪ってどんなですか調査

    (あるいは「先行デザイン」をもっと楽しむためのウィークエンドプロジェクト)

    「先行デザイン宣言」の、今回の10+1誌上で提案されているプロジェクトを拝見するに、残念なのは僕に大阪の土地勘がほとんどないことである。特に、最後のほうの埋め立て地改造案や首都機能移転のようなスケールの提案において、その形や内容や、計画のプロセスは刺激的だが、僕自身が実際の土地の様子を知らず、あまり具体的なイメージがないため、大阪をよく知っていれば味わえるかもしれなかった「ここにこれ作っちゃうのか!」「この手があったか!」というような興奮を得損ねているような気がするのである。

    そういうわけで、そこに生活してみて感じるような、「土地の気配」はいきなりは無理だとしても、せめて大阪および周辺のアウトラインをツカむべく、手持ちの資料とネット検索で、安易で初歩的な「自宅週末地域解析作戦」をすることにした。
    ツールは「カシミール3D」、国土地理院の全国50mメッシュ標高データ、カシミールの解説本に付録でついてきた地形図、およびデジタル・アース・テクノロジー(株)の「スカイビュースケープ・世界衛星画像」。

    1.まず、ランドサットの写真を眺めてみる(いつもの手順である)。

    大阪平野、奈良盆地、京都盆地がべたっと都市化しているのがよくわかる。
    紀伊半島を東西に横断している中央構造線がすごい。
    しかしまあ、このスケールで見ても関西空港というのは過激な構築物である。東京の中央防波堤とタメ張ってる。

    2.もうすこし寄った衛星写真。

    大阪湾の海岸線はたしかに、いかにも「道路」的な構造物に占められている。
    平野南部をよく見ると、小さい緑の「ぶつぶつ」が見えるが、これが古墳群である。
    写真の左上のほう、六甲山の北あたりの丘陵地の緑が、やけにモザイク状に減色しているのが気になるが、

    3.その部分を拡大してみたら、なんとゴルフコースの海である。

    すげー!千葉の「ゴルフ銀座」以上の密度かもしれないぞ。

    4.衛星写真1とほぼ同じスケールの地形図。

    見比べると、都市化がほんとにきっちり平野に沿っていて、都市の形が地形を浮かび上がらせているような感じだ。

    5.地形図の色分けを変えて、海抜10m以下をブルー系にしたもの(東京キャナル以降、凝ってるパターン)。

    低地のこまかい標高差を表示させてみると、平野が意外な相貌をあらわす。

    6.地図を重ねたもの。

    京都に比べると、奈良の標高がけっこう高いことがわかる。というか、京都盆地が内陸のくせにずいぶん低い。京都盆地って、思ったよりも南へ広がっている。京都の市街地は「底」にあるわけではななくて、盆地の北半分の「南斜面」に引っかかっている。京都盆地の最低地は巨椋池だったのだ。ちょうど水色で再現されている。わかってなかった。。。巨椋池のほとり出身のくせに。

    7.大阪平野南部の地形。

    画面の下のほう、斜面にニキビみたいに古墳群がある。この地形データは50mメッシュだから、つまり、古墳は50mのピクセルでも「地形」として拾われるようなスケールだということだ。
    気になる点が二つ。
    なんといっても、平野の中央に横たわる上町台地が目立っている。まるで防波堤みたいな形だ。これはどうした事情によるものか。
    もうひとつは、画面の下1/3くらいのところを「東西」に横切っている川である。生駒山地の南端から平野へ流れ出て、どう見てもそのまま北へ流れていきそうな川が、斜面を横切って大阪湾へバイパスしている。きわめて不自然。

    まずは、「上町台地+地質」で検索。
    http://www.hp1039.jishin.go.jp/kozo/Osaka7/2-1-3.htm
    文部科学省の地震調査研究推進本部のサイト内、大阪平野の地質と地形概要ページ。
    「大阪堆積盆地の東西地質断面図」がよくわかる。生駒山と六甲の花崗岩(まさに御影石)は、「基礎」としてつながっている。上町台地の左にエキスパンション・ジョイントがある。やっぱり断層だったのだ。なんか、生駒山が大阪を「押してきてる」みたいに見えるな。
    総合層序表によると、上町台地の「芯」の「大阪層群下部」というのはおおむね100万年くらい前に積もったものらしい。古い。当時、メタセコイアがいっぱい生えていたみたいである。大阪に。
    でもこの「アカシゾウ」ってのは何だ? 「アカシゾウ」で検索すると、
    http://www.city.akashi.hyogo.jp/sangyou/kankou_ka/kataru/
    そのまんま「明石象」であった。メタセコに覆われた、ゾウの行き来する大阪。すげー。

    8.大阪平野南部の地図。

    くだんの川が「大和川」であることを知り、「大和川+歴史」で検索。
    http://www.yamato.kkr.mlit.go.jp/YKNET/history/index.html
    国土交通省近畿地方整備局、大和川河川事務所のサイト。
    やっぱり付け替え河川だった。しかもけっこう古い。上町台地の東の低地が「河内湖」だったということも知った。なるほど。

    9.大阪中心部の、海抜1m以下の範囲を塗りつぶし。

    これが、今世紀中にそうなると言われている海面上昇で(堤防がなければ)浸水する範囲である。河内湖が「復活」している。
    近年の埋め立て地のほうが、海岸に近い陸部よりも標高が高くて、一種のリーフ状の地形をなしているのは、東京も同じだ。

    10.以下は、比較のために同じスケールにした地形図。大阪と、

    11.東京。

    つづく。(かもしれない)。

    2005年1月21日

    河原者ログ

    ラ系注目!
    大阪市立大学工学部建築学科の中谷ゼミナールにおける「庭ゼミ」の成果の一つとして、作庭書がテキストダータ化・公開されている。

    公開:作庭書

    ラインアップは、『作庭記』『山水並野形図』『嵯峨流古法秘伝書』『築山山水伝』『夢想流治庭』『築山庭造伝前編』。すばらしい。

    中谷ゼミナールのサイトはこちら。
    中谷ゼミナール/大阪市立大学工学研究科・都市系専攻・建築デザイン研究室
    中谷さんの研究・関心領域のダイアグラム(というかウェブ)に、ちょっと目眩が。

    2005年1月20日

    「ポイントマンDRM」

    歩行者ITS端末機

    マニュアルが僕には難しいが、拾い読むと、NMEA出力可能だとか、後ろ向き歩行の探知とか、「カロリー消費」まで推測する、とある。

    建物内の3次元軌跡。

    思わず電話して問い合わせてしまった。
    メモリー、ジャイロなしの評価版のパッケージで、45万くらいの値段。


    追記:
    この製品は、アメリカの軍事技術を民間に転用したものだということなのだが、その軍事製品のメーカーのページがちょっとすごい。
    Soldier Vision

    Soldier Visionの製品解説ページにある、「Unit Detection」とか「Ground Guidance」なんて、ほとんどゲーム画面みたいだ。敵味方を識別する矢印が出ているが、これ、バッテリーが切れたらやばいぜ。

    システムのデモムービーがある。
    Soldier Vision - Demonstrations
    なんか、ブレアウィッチプロジェクトとプライベートライアンを足して二で割ったみたいな雰囲気。

    日本の「ポイントマンDRM」のメーカーの、頭にGPSアンテナつけているお父さんの画像がじつに、のどかに見える。。。

    2005年1月19日

    植生.jp

    第6回自然環境保全基礎調査 植生調査 情報提供ホームページ

    ドメインはその名も「ベジテーション・JP」。

    これは使えるぞ(仕事に)。カバー範囲が早く全国に及ぶのを望む。
    いかにも「速報」という感じで、場所によっては色鉛筆の手塗りがそのままスキャンされていたりして、それもまた、なかなかよろしい。

    このへんの植生の凡例で、マングローブ群落とかソテツ群落とかモリヘゴ群落とか隆起珊瑚礁植生なんてのと、このへんのナガボノシロワレモコウ−エゾミヤコザサ群落とかツルコケモモ−ミズゴケクラスなんてのを見比べたりすると、ちょっとぞくぞくしますね。しないか。ふつう。

    2005年1月18日

    ブラディ・サブジェクト

    AERAに「血液型性格判断」の記事、見出しにいわく「B型をいじめるな」。

    韓国でも血液型あそびが流行っているそうで、おそらくは日本からの輸入なんだそうである。世界的に、血液型に「凝ってる」のは日本と韓国だけなのだそうだ。

    僕は他人に血液型を当てられたことがない。しかし、「●型でしょ?」と言われる、その血液型はいつも、申し合わせたみたいに同じである。「ちがうよ」というと、一様に「意外だ」という顔つきをする。まずそれが神経に障る。

    血液型で人の見方や接し方を変えたり何かを納得したりはしゃいだりするようなやつは、仮にそいつと何かの仕事を一緒にしなければならないような場合は、狭い了見で浅い先入観に基づいて判断をする可能性が高いから気をつけよう、と警戒する必要があるけれども、通常はまあ、その程度の思考負荷を惜しむ「ばか」なんだなと思うまでだ。

    ただ、どうしても気になるのは、ある血液型について、自己中心的だとか自分勝手だとかいう決まり文句が当てはめられていることだ。しかも、往々にして、血液型あそびはその特定の血液型の人を探索するというやりかたで行われる(あいつはぜったい●型だ、というような)。その血液型は、たまたま、日本人(と呼ばれる集団)のなかでは相対的に少数である。そうした「希少性」と、「自己中心的」という、しばしば付和雷同的な人が、自分がコントロールできない人を指して呼ぶ言い方が恣意的に結びつけられているところが、なんかこう、日本の「マジョリティのいやらしさ」が露骨に感じられて、非常に気に入らないのです。

    僕に向かって血液型を聞いたり、話題を振ったりしないでくださいね。ほんとに。

    2005年1月17日

    LANDSCAPE EXPLORER

    土曜日。の続き。

    そんなわけで、妻のシェアオフィス在の建築家、オキザキさん、OMさんと久しぶりにお会いし、オフィスに置いてあった日経アーキのページをめくって、僕が関わった掲載物件をお見せし、「石川さんも設計の仕事ちゃんとやってるんですねえ」と納得いただく。 やってるってば。

    夜、まだ風邪が治らずに咳き込んでいるがび姐に電話をかけ、病人つかまえて1時間も長電話。いま、学校で教えているのは、そもそも修士取得のために実務経験が必要だったから、なんだそうで、そのうちまた大学院に戻って「言語教育」を研究するかもしれず、その際に誘われている研究もいくつかあったりするそうだ。「言語教育学」ってしかし、いきなり人間の本質と向き合いそうな、面白そうな分野だ。どこまで行くんですか。がび。

    下北沢の古道具店で買ってきた、昭和20年代モノの柱時計を居間に取り付けた。夜、子供たちが寝静まると、部屋に振り子時計の音がかちこちかちこち、染みわたる。ゼンマイを巻いて動かす時計というのは、「僕が時間を押し動かしている」ような気分になって、なんか、なんともいえない良い気分。

    さらに夜。何を検索していたんだったか忘れちゃったが、こんなサイトが。

    LANDSCAPE EXPLORER

    んまた、面白そうなことをやってる。関西方面。メンツもいい。「対談」のゲストの人選がまた。
    なんだよ、クツナさん、ちっとも教えてくれないじゃんかよー。

    続きを読む "LANDSCAPE EXPLORER"

    2005年1月14日

    言語道断

    まわりぶろぐ: 四文字熟語を2つあげて下さい。

    う。

    咄嗟に浮かんだのが、1:空前絶後、2:酒池肉林、だった。。。

    ちなみにサカイさんは「因果応報」「四面楚歌」。

    2005年1月13日

    地下鉄は接続する

  • 健康診断で半日ドック。朝から血を抜かれ、造影剤と炭酸ガスを飲まされ、被爆してきた。うう、胃が気持ちわるい。

  • さまざまな理由で寝不足が続いている。そのため、最近は電車で座席に座ると居眠ることが多くなってしまった(年齢のせい?いやそんなことは)。特に帰りが危ない。まず赤坂から千代田線に乗る。千代田線は、たいていは代々木上原行きなので、終点まで寝過ごしても、多少の「コース変更」で復旧が可能である。でも、たまに小田急直通の「多摩急行」というやつが来ることがある。これに乗り合わせるとちょっと緊張する。もし爆睡して終点まで行っちゃったら唐木田とかである。ダメージが大きい。千代田線は、西は小田急、東は常磐線に乗り入れてるから、迂闊なことができない。目が覚めたら本厚木、なんてことに。それで慌てて逆方向に乗り換えなおし、また居眠りをして、目が覚めたら取手、なんてことに。眠り落ちたまま神奈川県と茨城県を行ったり来たりすることに。おちおち居眠りできないぞ。ぐう。

  • 2005年1月10日

    「先行デザイン宣言支持宣言」

    金曜日。
    通勤帰路、田中さん強力お薦めの10+1最新号(No.37)を買った。特集は「先行デザイン宣言」。宮本佳明さんの「環境ノイズエレメント」研究チームと中谷礼仁さんの研究チームがタッグ組んだプロジェクトである。宮本さんの「環境ノイズエレメント」は以前から興味を持って拝見していたものの、それを「発見」って言われてもなあ、と思っちゃって(ラ系にしてみたら、あえて騒ぐようなサブジェクトだとも思えなかったので)、いまひとつ食指が動かなかったのだが、田中さんが何度も「読んで下さいよ」と言うので。ま、買ってみたのだった。相変わらず字は小さいし、混んだ電車のなか、疲れ目で読むには不向きな本だ。前半、面白そうな論文もいくつか目に留まるが、後回しにして特集記事を開いてみる。

    ・・・こここ、これは面白いじゃないか!(だからそう言ってるじゃんか)
    これは久し振りに「瞠目」という感じのものに当たったぞ。プロジェクトの具体性・個別性と、抽象性・普遍性のバランスもいいし。中谷チームの埋め立て地の改造計画(東京キャナルで埋め立てに参加したメンバーは必見)だけは、ちょっとこれは何だかな、と思ったのだが、記事の締めくくりに岡崎乾二郎さんがそこをちゃんと厳しく突っ込んでいて、それがまた腑に落ちる。冴えてる。推す。思い浮かぶことがありすぎてすぐには書ききれないが、とりいそぎ「先行デザイン宣言支持宣言」。


    日曜日。空は澄み渡り、乾いた冷風が欅の梢を揺らし、絵に描いたような関東平野南部の冬日。
    ベビーカーを仕立てて親子4人で散歩に出かけ、国立天文台のほうへ崖線を大沢に沿って下り、調布飛行場の「プロペラカフェ」で昼食をとった。ここは格納庫の一角をカフェにしてあるような、というかきっとそのまんまなんだろうが、その無造作な感じが好ましいし、片隅で売られている「航空系グッズ」だの、本格的なフライトシミュレータだの、コアな航空ファンの世界への入り口を垣間見させてくれるし、食事もそこそこおいしいし、子供連れでも気兼ねなく行けるし、よいお店である。

    調布飛行場一帯は、周囲から取り残されたような、戦前からあまり骨格が変わっていないんだろうと思わせる、わりと「なま」の風景がむき出しであるような雰囲気があり、しかし地図を見ると行政境界と地形とインフラの残滓が奇妙に絡んでいたりして、それこそ環境ノイズ的にはなかなか魅力的な場所である。

    息子は間近で離着陸する小型飛行機に驚喜し、チョロQみたいにゼンマイで動く飛行機のおもちゃを父親(僕)に買わせた。いまは布団に持ち込んで一緒に寝ている。

    2005年1月 6日

    都市建設の美的方面にも資したいと思ふ。

  • 今年は「新聞見ました!」という年賀状をいくつも頂いた。。。

  • 打ち合わせで帰国していた、OMAのシライくんが職場に立ち寄ってくれた(というか、近くにいると聞いて電話で呼び出したんだけど)。北京でCCTVの仕事をしているそうで、今年の3月からは常駐するとのこと。あの現場、なぜか仮囲いが高さ18mあるそうだ。すげー。なぜだ。そんなに危ないのか?たしかに「いかにも安全そう」には見えないが。ところでシライくんは、この夏キャナルでお会いしたWEST8のタジマさんと親しいお友達なんだそうで、要するに結局みんなお友達なのだった。つまり。

  • 父親の自転車を借りため、歩くたびに鍵につけてある鈴がポケットでチリンチリンと鳴って、一日、ネコになったような気分だった。スタッフのサカイさんが「ランドセルとかに鈴つけてるコドモみたい」だと言う。サカイさんちの方面では、鈴の音は子供と老人のイメージなんだそうである。これはいかにも都市部、というか下町の発想だと思う。鈴の音で子供の位置が特定できるためには、可聴範囲に特定の鈴音を識別するセンサーがたくさん配置されている必要があるわけで、そういう「よく知ったご近所の耳」による、LPS(ローカル・ポジショニング・システム)は密集住宅地じゃないと機能しない。住宅地図がスカスカの深大寺北町ではちょっと無理である。

  • 上原敬二「風景雑感」を持ち歩いている。
    ・・・或はまた、文化の都に現はれたる現代的の風景とも称される極端なる人為の力の現はれなる建築美、都市美の損存するものあつて、そこに人為と自然との対立によつて新しき意義に於ける人生建設の象徴たる総合美をも見られるのである。
     我々は原始的に保存されたる神秘の景観を耽美するの意識を養ふと同時にかくの如き人力の極致たる建築美をも味ひ得る包容力を養ひ、以て文化的に発展しつつある都市建設の美的方面にも資したいと思ふ。
     一国の歴史と、国民性と、趣味性とを離れて一国の文化や風景を批判するのは酷である、ハドソン河口より仰いだ大空に摩天楼(スカイスクレーパー)の塔上高く白雲のかすめて飛ぶ様に見入つたものは狭量なる自然風致讃仰のみを唱へる人よりは恵まれて居るものであらねばならぬ。
    1925年の本である。上原先生。教わりたかった。。。

  • 2005年1月 5日

    地表系ツールを持って街へ出よう。

    日が暮れてから、東大・駒場の生産技術研究所へお邪魔し、ピクニシェンヌ伊藤さん(今年は「戦うピクニシェンヌ』)と一緒に田中浩也さんの「GEOWALKER」ベータ・バージョンアップ版のデモを拝見しつつ、好きなことをああだこうだ言う「地表系って何・セッション」に行ってきました。

    研究室の前の廊下には、研究内容や実績のパネルが並んでいる。田中さんが軽く説明してくれたが、ビルの林立する都心で、ナブスターが見えないところ(衛星がビルの陰になっちゃうところ)を逐次描画するとか、センサーを車載して立体沿道地図を描いてゆくとか、レーザー光で歩行者の軌跡を描画するとか、GPSの電波を受信して、その生データに何やらのアルゴリズム(「Σ」がいくつも並んでいたので、何かを積分するんだと思う。たぶん)をかませると、原理的に数メートル(!)の誤差まで精度を上げることができるという研究とか、その他もろもろのリモートセンシングやらモデリングやらシミュレーション実験がずらり並んでいて、興奮した。すごい。「柴崎研プリゼンツ・空間解析のいま展」なんてのがあったらぜったい見に行く。

    実世界のデジタルコピーを作成し、それを使って実世界に起こる様々な問題の解決を支援するための研究や技術開発を行っています。(東京大学 柴崎研究室

    「実世界のデジタルコピー」。なるほど。

    GEOWALKERーβは、それなりに荒削りながら、そのまんま装着して持ち去って、東大キャンパスから深大寺北町までフラフラ歩いて帰りたくなるような「これは行けるぞ」的期待感を抱かせるに充分なデバイスになっていた。面白そーだなあ。あれ持って渋谷とか新宿とかを立体縦横無尽に歩きたい。六本木ヒルズの入り口で観光客に配ってあとで回収したりしてみたい。あるいは、「銀座の画廊地区での五十嵐太郎さんの半日」とか「東京の佐藤敏宏さんの夕方から夜」とか、ログ取ってみたい。

    「言いたいこと言う」は、前回と同様、ほんとに言いたい放題で田中さんを困惑せしめたが、「地表系でなく事態系」の伊藤さんの話が面白かった。伊藤さんの研究の興味は、ご自身による簡潔な文章がある。

    空間情報科学では,従来の地図上に記載されていた「もの」だけでなく,様々な情報を組み合わせることによって多様な「こと」をも表現し,捉えることが可能となる.我々が生きつつある世界は,本来多くの出来事によって構成されている.膨大なデータに基づいて世界の諸出来事を俯瞰できる空間情報科学の手法を活かしつつ,概念的なアプローチおよび具体的で定量的なアプローチの両面から,空間と出来事についての考察を進めている.(ito kaori website

    都市は都市的なモノであると同時に都市という「出来事」である。そりゃそうだ。つい、分けて考えてしまうのは、「モノ的側面」のほうが、伝達できる情報に加工し易いからだろう。逆に、「コト」も「コト層圏」を漂っているわけではなく、モノの上に展開し、モノの制約を受け、モノを作る。コトのひとつの断面をモノの座標においてみる、GISというのはそういうもんである。

    課題は、どういう種類の「コト」を、どういう風にピックアップしたら、より大きな範囲を説明したり記述したりできるか、というところでもあって、伊藤さんはそういう「アクティビティのピクセルの決め方」の研究もされている。生態学のアプローチにすごく似ている。こういう複雑なものを「系」として把握しようとすると、似てくるのかもしれない。人間の活動だって「生態」だしなあ。

    「歩く経験としての都市」にしろ、「人々の活動の集合としての都市」にしろ、「その」先へ、わたし→都市→世界、みたいな「見通し」に焦がれるところはきっと、同じような情熱なんだろうな、と思ったのだった。

    あと、お二人ともそうだし、若い建築家はしばしばそうだが、ちゃんとプレゼンテーションデータを作ってノートPCで携帯してる。僕も何かのおりに自分のポートフォリオか何かを作っておこうか。。