真面目に転職しようかと思い始めるくらいストレスフルな1週間が過ぎる。
ここでお知らせしておきながら、木曜日のピクニックパーティーには行けず。
僕は勤め先の会社に殉じる気も、自分の専門分野と心中する気も毛頭ないが、違う分野の企業の中途採用のページなんかを半ば本気で眺めてみたりすると、それはそれで僕自身がなぜ今の仕事を仕事にしているのか、ということをあらためて考える機会にはなるのだった。そういえば数年前に、外資系のヘッドハンティングの会社からいきなりオファーをもらったことがあった。あのとき、話を断らずに転職していたら、今頃は全然違う生活を送っていたのだろうなあ。と夢想してみたり。
金曜日(祝日)。
車を借りて、八景島シーパラダイスまでドライブし、妻子3名を降ろして、僕は一人で関東学院大学へ。
建築学科の学生たちによる、学園祭の展示・ワークショップの最終日の講評・レクチャーに呼んで頂いたため。
ワークショップを主催したのは、主に学部3年の建築学生たちで、去年の「デザインスタジオ・2」を履修していた連中である。スタジオの演習の性格上、何か「教えた」というよりも、一緒にフィールドワークしたり悩んだり励ましたりした、みたいな感じしかしないが、非常勤講師を拝命して最初のクラスだったために思い出深くもあり、なんとなく責任も感じるので、こういう機会に名指しで呼んでもらえるというのは嬉しい。
会場には、大学キャンパスのある追浜の街を1/500にした、1m×4mくらいのけっこうな大きさの模型が置いてあり、その傍に模型の材料やツールが置いてあって、来場者が「追浜の街」に好きに手を加えてよい、という趣向だった。
主催者としては、地形や建築物が大胆に改変されていって、最終日には「みんなの見たい追浜の街」が姿を現す、というような、模型版シムシティのような結果を期待していたようなのだが、実際には、スケールアウトした雪だるまや奇妙な形のタワーを作って模型の中に置く、というような行為がほとんどで、僕が会場に行ったときには、街のそこかしこに巨大アートみたいなオブジェがごてごてと貼り付けられたような状態になっていた。
僕も最初はいささか困惑したが、でも、みんなで模型を囲んで議論するうちに、そこに、たとえば現実の都市の開発のされかたを示唆するパターンや、一戸建ての住宅の建物の「タイポロジーの強度」というべきものや、模型に顕在化する「鳥虫問題」やら、いくつかの面白い傾向が示されていることを発見し、なかなか盛り上がった(←特に僕が)。
地形や建物の改変がほとんど見られなかった、というのは、必ずしも失敗ではなくて、実はけっこう興味深い結果である、と思った。もし、模型が地盤も道路も含めて全部レゴブロックで作られていたら、参加者はもっと気軽に街や土地に大胆に手を加えていたかも知れない。しかし、むろん現実の街や地形はレゴブロックでできていない。というか、地形や建物の、それぞれの「レゴブロックじゃなさ加減」が都市的な営為を左右してもいるのである。ネタ元:中谷礼仁「セヴェラルネス」(鹿島出版会)。
実はこの日、ついに大厄の歳を迎える誕生日だったのだが、レクチャーを終えたところで学生たちから花束をもらった。ハッピーバースデイの歌つきで。うう。キッズ。泣くかと思ったじゃんか。こういう目に遭うと、「先生」仕事も悪くないんじゃないかなどと、うっかり思ってしまうぞ。