2008年5月29日

大スケールの冗談

だったらしい。やはりというべきか。

GPSによる「世界最大の一筆描き」は壮大な嘘

この、ひげ面スウェディッシュ!
ジェレミー・ウッドさんに手をついて謝れ!
(それと俺と。)

・・・でも、つかのま、ちょっと壮大な気分には浸ったのでその点は許す。

2008年5月20日

水門のエコロジー

佐藤さんがマイマップを公開されている。
Das Otterhaus:東京水門map(beta)
Das Otterhaus:埼玉水門map(beta)
これは面白い。水門のように「夥しくある」施設は、分布図にし甲斐がある。

「マイマップ」でプロットされているポイントのデータは、Google mapの画面の右上のほうにある、「Google Earthで表示」というメニューで、KMLファイルとして書き出すことができる。そのまんまGoogle Earthで表示しても興味深いが、

このKMLファイルを、
GPS Visualizer: Convert GPS files to plain text or GPX
でGPXに変換すると、Kashmir3Dで表示することが可能になる。
ただ、このオンライン変換ツールだと、それぞれのポイントの名称がすべて文字化けしてしまうのが惜しいのだが。

50mメッシュ標高データ+東京埼玉水門。

同じく50mメッシュ。首都圏周辺の拡大。

河川の地形に沿って線状に分布しているのは施設の機能上当然だが、特に周囲よりもぐっと低い「低地」を包囲するような並び方をしていることがわかる。

5mメッシュ標高データ。

河川の合流点や分岐点に集中していることが見て取れる。道路における信号機の分布みたいである。
そういえば、その機能というか「対象の制御のしかた」において、信号機と水門は似ている。

同じく5mメッシュ、都心の低地部分。

水門は「開閉を可能にした堤防の一部」であって、つまり、この地図上の赤い水門点を繋いだラインは、「水流の行き来ができない線」が建設されてあるわけだ。
多摩川の河口あたりから隅田川にかけての水門の分布が、近代の埋め立て以前の海岸線だったラインをキレイにトレースしているのが印象的である。

2008年5月16日

ドボサミへの誘い

おお。水門が団地と工場とダムと鉄塔を招集している。
Das Otterhaus:【課外講座】ドボク・サミット

じゃなかった、佐藤さんが、いわゆる「錚々たる面々」に声をかけて、「リサーチ・エンタテインメント」の方法を探るシンポジウム。こうした土木鑑賞者の披露に、土木を担う専門家が並ばないという点が、じつは土木の土木たるゆえんでもある、という難問を土木は抱えている。これを「土木のアポリア」と呼ぼう。

じゃなくて、武蔵野美術大学のオープンキャンパスの一環として営まれる企画であるらしい。
ムサビ日記 -広報の手羽-: ドボクサミット開催

やるじゃないか武蔵野美術大学。

これ記録してブックレットにしたら売れるんじゃないだろうか。
むろん、「ドボサミ」Tシャツもデザインされるでありましょう(予想)。

追記:

やはり記念Tシャツはデザインされた。

さらに、告知のロゴが異様にかっこいい件:
「住宅都市整理公団」別棟:2008年6月15日 "ドボク・サミット"開催
大相撲の番付みたいだ。

2008年5月12日

生活学会アスファルト仕上げ

中谷礼仁・記録・2004-, Nakatani's Blography:満員御礼・生活学会での瀝青会発表など・2008年5月10日

いや、ほんとに満員だったのだ。椅子が足りなくなるくらい。それで、会場の前列には高名な先生方、残りの大部分を学生さんたちがぎっしりと埋めていて、僕は後藤先生と中谷さんに挟まれ、その隣に川添登先生。いやあ、怯んだぜほんと。中谷先生に時計をお借りしたにも関わらず、時間をキープしている余裕がなかった。あー冷や汗かいた。でも、会場に来てくれた調布市民、関東学院のデザスタキッズ、雨の中遠いところどうもありがとう。

・中谷さんの話はほんとうに面白かった。帰路、地図メカと、同世代に中谷氏を擁しているのはじつに僥倖だという意見で一致。
・あとで、和崎先生や中川先生はじめ、何人もの先生方に、面白いが、もっとちゃんと言語化せよ、とコメント頂いた。いやあの、努力いたします。
・川添先生は、シンポジウムのあとで次第にエンジンがかかったらしく、打ち上げの懇親会でのお話のほうが面白かった。惜しい。
・懇親会での菊竹先生と進士先生のバトルがなかなかスリリングであった。あろうことか、僕は進士先生の隣に座っていたのだが、ひたすら、頭を低くして耐衝撃姿勢をとっていた。。。

2008年5月 8日

工場・ダム・鉄塔・水門

BS熱中夜話 テーマ「巨大建造物鑑賞」

これの収録の末席に僕も座った。番組についてはまあ、書き始めると長くなるのでまた後日。忘れないうちにメモしておきたいことを少し。

  • 水門的難問
    収録の最後に、質問や意見を述べる機会があった。僕はその場で、「工場・生産施設や土木系構造物に共通する最大の魅力はリアリティだ」という話をしようと準備していたのだ。のだが、その直前に、佐藤さんが水門プレゼンの一環で出された「典型的水門タイプ」に含まれていたふたつの水門にいささか驚いて、手を上げるのをためらってしまった(あとで後悔した)。

    Das Otterhaus:やっちゃった系水門
    川崎河港水門

    僕の知る限り、水門なんて「リアル」がそのまま物体化したような施設の典型である。ところが、昭和3年の日本では、地域のランドマークであり先端産業の象徴でもあるような施設(水門)を「誇る態度」として、「様式を装う」ことが正しい方法だったのだ。その後、いつしか水門は装飾の対象ではなくなり、長い間、武骨に機能に特化した「飾らない」施設であり続けた。近年、「景観」というような新規なコンセプトに晒されるようになるまでは。

    「ひとまわり」して戻ってきたのか?水門。でも、昭和3年の「様式的装飾」と、近年の「景観配慮型」と、は、デコレーションの「動機」が異なっている。前者の装飾はいわば、水門を都市の「表の施設」に昇格せしめる手順である。「タキシードを着る」みたいなものだ。後者は逆に、わざとカジュアルなTシャツに着替えるみたいに、巨大なエンジニアリングの尺度を隠して土木施設ではない何ものかに擬態しようとするものである。いや、必ずしも「擬態」までしていなくても、少なくとも「単に水門なだけ」よりも親しまれる様子であろうとして、景観や地域性の記号を帯びようとしている。つまり、飾らない土木的施設はそのままでは「親しまれない」と見なされている。

    僕は、佐藤さんのいう「やっちゃった」系は、個人的にじつはけっこう好きである。でもそれは、土木構造物の「土木性」に心打たれる気持ちとはいささか異なる種類の喜悦のように思う。とはいえ、「水門のモダニズム」も、必ずしも(というか明らかに)水門が自覚的にモダンデザインを身にまとうつもりで構築されているわけではないわけで、その意味では、「供給側の意図と無関係な観賞」という態度は共通してはいるのだが。

    あと、箇条メモ。

  • テクノスケープの正当性の主張へのいささかの違和感。話が逆なように思うのだが。
  • 京浜工業地帯と京葉工業地帯のゾーニングの違いの解釈として「東京湾の変容」というのがあるんじゃないかという仮設。
  • 周囲を造成しまくって野暮な法面をいっぱい作らなくても最適な渓谷がたくさんあったころに作られたアーチダムが異様に美しいということ(帰路、電車の中で萩原さんに、この時期の家族連れお勧めダム観光コースをご教示いただいた)。
  • それから、番組のフロアディレクターの、最後の「まだ話し足りない人は近くの居酒屋へでもどうぞ」っていうセリフはなんだ。長時間ご協力ありがとうございましたって丁寧にお礼するくらいできねーのかよ。まったく。

    追記。

    総裁がけっこう厳しいことを書いているが、そしてたしかに、僕も最初に出演したBS2の番組が「熱中時間」だったので、その待遇というか態度の差が余計に強く感じられたのかもしれない、という可能性はあるし、打ち上げはこれをぜんぶ録音しておきたかったくらい希有な機会ではあったので、その楽しさで怒りが半分くらい吹き飛んでしまった効果、というのもあり、とはいうものの、そのぶんを差し引いても実際、総裁の指摘は出演した私たちみんなの気持ちをそのまま代弁しているのだ、ということを記しておく(たとえばダムマニア - BLOG:●中●話の収録をしてきたわけだが。ダムが放流したって - 速報ダム日和)。

    あと、ついでだ。これはさすがに大人げないかと思って、上記の記事から消しちゃったことを追記してしまう:

    ・大山さんが「マイク回すんじゃなくて全員にピンマイク付けたほうがいいんじゃないですか」と(半分本気で)言ったのに対してFDが「もっと予算をもらえればやります(笑)」と言いやがった。予算がねーのは俺たちのせいじゃなくてそっちの都合だろ。マジメに視聴料払ってる俺に向かって言うな。

    ・最初でも最後でも、プロデューサーだかNHKの担当者だかが出てきてみんなにちゃんと挨拶くらいしろ失礼だなまったく。貸しスタジオじゃあるまいし、制作会社に客の対応まで丸投げするな。

  • 2008年5月 7日

    From Housing Complexes with Love

    ここ1ヶ月、それなりに記録しておくべき諸々は様々にあったのだが、取り急ぎ:

    大山顕:団地より愛を込めて…
    さすがPingMag。さらりと何気なくも、ポイントを付いたインタビュー。

    英語版:
    Ken Oyama: From Housing Complexes with Love
    雰囲気を保持した英訳が上手。ただ、インタビュアーが大山さんに「ケン、」と呼びかけていたりし、そのへんのニュアンスが変わるのが面白い(これを日本語に逆訳すると、やけに馴れ馴れしい感じになる)。「ケン」はしかし、そのまま英語の名前で通用するんだよな。こうしてみると。

    記事に寄せられている海外からのコメントが面白い。
    「I love the first picture, but I really don’t know why..」