2004年5月27日

翳りゆく庭

数日、会議や検査の予定がいろいろと重なって落ち着かない。

朝から、世田谷で施主検査。調布の駅前で、建築のエシマくんとばったり会う。行き先は同じ場所。僕が行こうとしていた電車乗り換え乗り継ぎルートよりも、調布からバスに乗った方が絶対早いと言うので従うことにする。

同じ駅を利用しているので、よく通勤の行き帰りに一緒になるのだが、彼は電車のダイヤが乱れたときの迂回ルートとか、終電に間に会う乗り換えかたとか、この時間ならこのへんの車両に乗っていれば上北沢でどっと降りるから座れる、などというノウハウが豊富で、決断が素早くて、それがまたきわめて的確なので、いつも驚嘆してしまうのである。今回も、エシマ・ルートは僕のプランよりも10分も早かった。

世田谷の物件は、住宅地の中にあった広いお屋敷を取り壊して建てられた4階建ての分譲マンションである。特別に高級なクラスではないが、建築のデザインも細部の仕上げも外構も、嫌みなくすっきりしてい?僕は気に入っている。中庭があり、お屋敷の庭にあった雑木を多く移植したので、木立をまるで以前からそこにあったみたいな様子にすることができた。マンションの中庭では希有なことだ(僕が設計した物件では)。心にわだかまりがあるとすると、こんなに東京にマンションまた作っていいんかいな、という疑問と、そもそもマンションに住むことへの根元的な疑問というか個人的な違和感である。でもこれは今回の僕のスコープを超えている。

検査も特に大きな問題も深刻な指摘もなく進み、なかなか良い気分で庭を回り歩いていたら、携帯に電話がかかってきた。次の予定の時間を僕が勘違いしていたのである。泡を食って現場を後にする。サカイさんに電話し、渋谷駅まで図面と資料を持ってきてもらう(こんなんばっかりだ)。

なんとか間にあって会議を終え、また世田谷の現場に引き返し、指摘事項検討の長ーい会議の席につく。中庭に保存した樹齢推定200年以上のケヤキのシルエットが夕空に浮かんでいる。調布まちづくりの会の理事会に間に合わず。とほほ。