2005年1月30日

ゲニウス・ロ樹

日曜日。
先に記した、60年前の空撮で見つけた、気になる「巨木」の跡地を訪問する。

現在の空撮で確認すると、調布第一小学校と新甲州街道との境目あたりにある。道路に当たっていたら完全にアウトだし、小学校の敷地でも、校庭の真ん中とかならともかく、裏手のようだし、残存はほぼ絶望的だろうと思っていた。のだが、自宅に持っていた、調布市教育委員会発行「調布今昔写真集」(1974)の中、「昭和28年に移転したばかりの第一小」という写真に、それらしい「樹影」を発見。

写真の説明文に、「背景の森は若松稲荷神社です」とある。おおっと。稲荷社だったのだ。これは、痕跡が残っている可能性もあるぞ。

というわけで日曜日。
2歳の息子と7ヶ月の娘を文字通り小脇に抱えて現地調査。第一小学校へ行ってみた。

現在の第一小学校の様子。

学校の敷地沿いに、甲州街道側へ回る。

調布駅前交差点から西へほんの数十メートル。
電通大の門の向かいあたり、歩道沿いに稲荷社はあった。

若松稲荷。

小学校の敷地に食い込むように建っていた。
小さな境内は、キレイに掃除されていて、この神社がまだ「現役」であることを窺わせている。
あきらかに老齢の巨木が数本、残っている。

目通り(幹周)ざっと3.5m。

樹種は、Quercus myrsinaefolia、シラカシだった。ケヤキやクスノキといった牧歌的なものじゃない。潜在自然植生じゃないか!(←突っ込み不要)
たぶん、写っていたのは単独の樹木ではなくて、この神社の樹林だったのだろう。そのうちのひとつがこの木だったことは大いにあり得る。根本は傷みが進んでいて、余命はあまり長くないように見えた。


落雷か、風害だろうか。地上10数メートルで折れた跡がある。以前はさぞ雄大な樹形だっただろう。


鳥居を挟んで向かい側にアラカシの大木。一見それほど大きな木に見えないが、根元が株立ち状になっているところを見ると、これも巨樹が一度倒れてまた萌芽したのかもしれない。

以上、土地の記憶に耳を澄ます週末プロジェクトのささやけき成果でした。

これは、フィールドワークを終えて「キツネワンワン」に別れを告げている調査員2号。

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昔の空中写真を眺めたり、並べてつなげたりしているうちに、その写真上に現在の様子をマッピングしたくなってきた。およそ60年の時を隔てたマッピング。 そこで、ULS... 続きを読む

コメント

お稲荷さんといわれると、それ以外にないくらい、納得しますね。田んぼの真ん中の大きな木。
調布今昔もお持ちとは。思えば「位置」に興味を持ったのは、これを見た頃からでした。

「今昔」は必須アイテムですよね(何のだよ)。

次は、カシミールに読み込んだ昔の空中写真をノートパソコンに表示してeTrexを接続し、軌跡を描画しながら「60年前の航空写真をナビにして歩き回る」という、「調布・時間差測位地表系散歩」を実行予定です。行きませんか。

調査員2号の勇姿に萌えました。よくタレの染みこんだアブラゲにみえちゃったのは親には言えない秘密だ。

アブラゲはこのあと、境内にあったたき火の跡に突進して大転倒し、コゲメ、じゃなくて炭素コーティングになりました。
洗濯しても落ちないんだこれがまた。

うむー、あいかわらず興味深いレポートだ・・・
60年前ナヴィいいですなー。
場所というのは時間を超越する絶対的なもの
という当たり前のようで、シンプルで強力な事実を
再認識しますね。
あっ、そうだ仙台の先生の都合聞かないと・・

仙台の先生ー!見てますかー!

昨日、アルプスマップのかたからコンタクトを頂いた。
都合が合えば呼んじゃおう。

いいですねー。時間差散歩。
ぜひ参加/お手伝いさせてください。

ところで国土地理院のページで
1923  ・初の実用目的の空中写真を撮影
という記述を見つけました。大正12年。震災後ですかね。閲覧は出来なさそうだけど。
http://www.gsi.go.jp/GSI/OUTLINE/16ayumi/kayumi.htm

当日に向け、「ULSEローカル調布版時間差編」作成の準備に入りました。

おおおお。CLSE!
よし、僕も仕込みを。

写真を追加し、調布市全域カバーしました。
簡易オルソも完了。3Dviewばりばりです。
この空中写真地図に現代のケータイ画像がプロットされて重なっていったりしたらすげーきっと(←言うだけは簡単)。

それが目標ですので、しばしお待ちくださいませ。

ちょっと目を離したすきにアツいやりとりが・・・
仙台の先生には一応メールしておきましたよ。
しかし、石川さんとこには新聞に載ったこともあり
地図人脈がちゃくちゃくと築かれつつありますね。
アルプスマップってのは、アルプス社の方なんでしょうか?
1923年の空中写真気になりますね・・・
ライトフライヤーの初飛行が1903年で、第一次世界大戦には
すでに兵器として飛行機が実用化されてるから、その辺が
最古の空中写真になるのかな。

初期の空撮はたぶん、気球から撮っています。アメリカのCity Beautiful Movement関係の本なんか見ると、シカゴやミネアポリスの「Baloon View」というのがよく載っている。

ULSE調布版時間差編、投稿受付システム準備完了しました。
http://ld.minken.net/chofu/
まだ下地となる空中写真の緯度経度の調整をしていませんが、これは後からでもオッケー。ともかくとりあえず投稿は溜められる状態です。

一般的なディスプレイサイズに調布全体が収まるようにすると、小さいですね。これは投稿位置に合わせて後から拡大版を作成する予定です。空中写真そのものは現行の8倍くらいの大きさまで拡大できます。

うおおおお。鳥肌!

投稿アドレス教えてください!(ぜーはー)

投稿先アドレス、調布版のトップページに載せておきました。

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