新宿百人町のジャングル(1998.08)

地図を眺めていて、目を引いた場所がありました。

新宿区百人町4丁目、都営新宿戸山団地です。
興味深い古い集合住宅というと、同潤会アパートが有名ですが、住民が熱心に管理、手入れをしていることが多い同潤会にくらべて、都営住宅は住民が気ままに住んでいることが多いため、下町の路地のように、密度の濃い生活空間を見れることがあります。

 

地図を見る限り、非常に隣棟間隔が確保されたレイアウトです。特に、青い矢印の部分のオープンスペースの取り方がすごい。幅50メートル近くありそうです。もしこれが最近計画された住宅地ならば、夢の配置計画です。アメリカの住宅地みたいである。このオープンスペースがどうなっているか、楽しみに出かけました。

期待以上にすごいことになっていました。

4階建てのRCの典型的な都営住宅ですが、棟と棟の間の庭には樹木が森林のように繁り、向かいの建物を見ることができません。

樹林には、建設当時に植栽されたと思われる、サクラ、ケヤキ、シラカシなどの緑化樹のほかに、ミカン類、ザクロ、イチジク、ビワ、モモなど、食用果 実の生る樹種が多く見られました。明らかに住民が少しづつ植え足したものです。

樹林帯(オープンスペースなどという空間ではなく、これは「樹林帯」でした)の内部には、家庭菜園として「開拓」されている区画もあり、サトイモやネギ、トマトなどが栽培されていて、まるで熱帯雨林のなかの焼き畑農場のような眺めでした。

団地の南西端、新宿消防署側に立つ水道塔。右側は建て替えの進む都営住宅団地。様子から見て、間もなく戸山団地もこのような高層住宅に建て替えらるでしょう。新宿百人町のジャングル、見るなら今のうちです。

 


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