seed the sun
--- landscape for the rest of us ---

2000年5月3日(水曜日)・晴れのち雨
青山一丁目→表参道→原宿→四谷

ヒマワリ(向日葵) キク科ヒマワリ属 Helianthus annus L.

北アメリカに分布する一年草で観賞用に各地で栽培される。日本には明治末期に渡来した。茎は多数枝分かれし高さ1〜2mになり、葉とともに短剛毛におおわれている。葉は長い葉柄があって互生し、葉身は心臓形で長さ10〜30cm。8〜9月、茎および枝の頂に大型の頭花を横向きに開く。頭花は径40〜60cm、まわりに鮮黄色の舌状花、中央に管状花を密集する。種小名は1年草の、の意。


風景は、現象としてそこにあるのではなく、人と環境との関わり合いによって成立するものです。それを魅力的なものにするのは、巧妙な計画やデザインよりも(巧妙な計画や冴えたデザインはすごく重要ではありますが)、そこで場所と人とがどれほど切実な関係を結んでいるかということではないでしょうか。

おそらく、それが最も端的に成り立つのが自分の庭で営まれる園芸です。ここには、全面 的に参加して合体している当事者の楽しみがあります。あるいは、たとえば、古い都営住宅や下町の路地のいわゆる地先園芸の風景の魅力は、風景の「エンドユーザー」が、自分の射程距離の範囲で風景と「いい関係」を結んでいる、その「関係」を見ることができるという点なのです。

公共の空間には、このような関係が生まれないまま(あるいはこのような「関係」が計画やデザインの対象とされないまま)、供給する側と使う側の間に、いわば宙に浮いた風景が生産され続けています。でも、そうした「公共の空間」は、実はよく見ると隙だらけです。搦め手から介入して参加するのは意外に簡単そうなのです。ちょっとした作業で、これらの「誰かが作った関係ない場所」を自分に引き寄せて風景の当事者になる、街の風景に参加しているような思いになることができるかもしれない。例えば、ヒマワリのタネを蒔いてみるとか。

蒔いてみることにしました。街の風景にいわば「ちょっかいを出す」試みです。

ヒマワリの選定理由は以下のようなものです。

    • 雑草化する危険が少ない(ヒマワリが雑草化し、在来種を圧迫しているという話は聞かない)
    • 成長が早く、花が派手(蒔いてから3ヶ月ほどで高さ2mに達し、大輪の花をつける)
    • 認知度が高い(ヒマワリを知らない人はまず居ないし、いかにもわざと植えたという感じがする)
    • 期限付き(一年草なので、秋には枯れて消える。壁にスプレーで落書きをするよりは害がない)

2000年5月3日、降水確率20%。声をかけた学生や社会人10数人が、青山の第一園芸に集合してヒマワリの種を購入し(その日、第一園芸のヒマワリの種は売り切れました)、主に歩道の並木の下や低木の植栽帯に播種しながら青山通 り沿いに東進して、表参道の交差点周辺をうろつき回りました。やり始めてみると、すでに風景が違って見える。その気になれば、街の地面 は種まきが出来そうな場所が実に多いのです。しゃがみ込んで種を蒔き、しばらく歩くと、また「蒔きたいごころ」が芽生えてきて周囲を見回すようになります(おおむね、バス停の間隔の距離に一致していました)。

数日後、参加者のひとりから、発芽を確認したというメールが届きました。その後、成長を観察したり、道路の清掃とともに抜き取られたらしい様子を悲しんだりする報告のメールが行き交い、参加者たちにとって表参道はすっかり「わたしの風景」になりました。ちなみに、ヒマワリの開花期は7月下旬から9月です。


表参道付近5月3日

四谷駅付近5月3日

表参道付近5月16日

表参道付近7月22日

ひまわりマップ

ひまわり生存マップ

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