2009年9月29日

tweet the radio

アーティストの彦坂尚嘉さんと語る、こたつ問題1970~2009/建築と美術のあいだ
に、twitterで参加した。8時過ぎくらいまで職場を離れられない用事があったのだが、結果的にはストリーミング配信視聴+twitter打ちまくり、という体制は実に仕事の邪魔で、ほとんど進まなかった(少しは進んだ)。

今回、取り上げられた「作品」とそれをめぐる言説、いわゆる「こたつ問題」についてはまあ、もういいだろう。いちおう、製作者本人と「ラジオ側」との一種の「和解」が決着していて、事前に僕が思っていたほどの後味の悪い結末にはならなかったらしい。ということは記しておく。

■ポッドキャストで配信する、という情報発信のプロトコル:

これに関しては今回、様々な意見を聞きながら考え直した。以下、自戒も込めつつ。

僕は当初、あの、人を馬鹿にしたような「語り口」に対して沸いた「ラジオという形式に相応しくない」「美術作品批評の水準に達していない」という非難にむしろ反発を覚えたのだった。

それは今でも変わらないが、ただ、今回学んだのは、摩擦抵抗が少ない「オンライン」媒体に、官能的/感情的に高効果な「肉声」が載っている「ポッドキャスト」というメディアは、単なる「身勝手フリーペーパー的カジュアルメディア」では済まない潜在力があって、ある条件が揃うといきなり爆発してパワフルな(場合によってはおぞましい)ものになることがある、ということだ。深夜ラジオ番組の「オールナイトニッポン」をイメージしているというような話が2次会で出たが、ポッドキャストは深夜ラジオとはちょっと発火点が違う。ブログが「炎上」したりしたとき、ネット環境に無自覚そうな運営者ほど、「こんなに反響があるとは思わなかった、驚いた」とか「こんな弱小な、カジュアルなブログなのに」などと言うが、今回のラジオ・サイドの反論はそれに似ていたな。

tweetで何度も投げかけた、「ポッドキャストが従来のラジオなどのメディアとは異質だという自覚はありますか」という趣旨の質問を取り上げて、松田さんが「メディアの違いによって、言っていいことと悪いことに差がある、というのは違うと思う」と答えていて、話を逸らしやがった、と田中さんたちと憤慨したんだけど、確かにパブリシティの自覚はある種の「無法地帯的なヤバさ」を色褪せさせはするだろうし、そのへんの加減は難しくはあるが、モデルがないんだから、試行錯誤を繰り返しながらより良いものへチューニングしてゆくしかない。今回のことは、開き直るばかりではなくて、フィードバックするように努めてほしいなと思う。

それと、これも今回、シンポを聞いてみてわかったが、ラジオのメンバーは決して一枚岩ではなくて、それぞれ少しずつ違うことを主張している。よく聞くと、一人ひとりは一貫しているが、まとめて聞くと、なんか、言うことをころころ微妙に変えてるみたいに聞こえるのだ。個人的な思いの発露こそが本来の批評だ、と言ってるのは主に彦坂さんで、批評の形式は様々にあってよい、とは五十嵐さん、俺は批評してるつもりはない、とは山田さんの主張。お互いの話を聞かないのはオヤジの特徴だが、もう少しリスナーが咀嚼できるようにする司会進行役がいてもいいんじゃないかと思うが。

■ストリーミング配信&twitterのイベント:

このやりかたは面白かった。技術的なことや、会場との関係の作り方など、改善の余地はまだまだあるが、それほど大げさな機材の準備をしなくても、ライブ映像を配信しつつ、視聴者の参加を促せる。「シンポジウム」の新しい可能性を感じた。映像担当、実況担当、みなさんお疲れ様でした。

フェイルセーフのため?映像が2種類あったが、これが意外によかった。会場でも気を利かせて、片方で発言者、もう片方で上映スクリーンを狙っていて、なかなか臨場感があった。

テキストによる逐次実況は、担当者にけっこう負担を強いたようで。「実況用アカウント」を新しく取ってもよかったかもしれない。

彦坂氏のレクチャーが普通に面白かった。これは思わぬ収穫であった。アースワークとの関係性とか、いかん、これ迂闊に書き始めるとラ系へ来るぞ。

首都大の渡邉英徳さんによる明快簡潔な、感想と、改良のアイデアの記事:
wtnv.studio: 「こたつ問題」 on Stickam + Twitter

・あと、あまり誉めてもなんだけど、外部からの視点のひとつとして:

コタツ問題の経緯を見ていると、批評が炎上になるオンラインメディアの特性に対して、建築やデザインの人達が無理くりでもそれなりのコンテンツに仕上げてしまうのが面白い。これが文化的、歴史的な批評精神なんだろうなと思うと、炎上なんて精神年齢問題だと良く分かる。 #kotatsu


失礼な言い方をすると「おじさんの言い訳」に聞こえるのですが、まぁ、それネタに会をして前に行こうとするのだからすごい(他業界だから言いたい放題)。こういう意味不明気味な信念こそ若者が持つべきでは #kotatsu

鈴木雄介 (yusuke_arclamp) on Twitter

・平塚さんによると、2009/9/28のハッシュタグ人気2位(1位セカイカメラ)だったそうだ。
Twitter / Search - #kotatsu

追記:衝撃的に印象深かったのは、後半のディスカッションだったが、山田さんが、「(製作条件が決定的に悪化した時点でケツをまくって)降りるという選択肢だってあった」と述べたのを受けて、彦坂さんが言われた「アーティストの場合、『降りる』はありえない、それは死ぬことだ、もしダメなものを作ってしまったら、現場にずっと居続けたほうがいい」という意味の発言であった。

あと、「参戦者」が増えてくるにつれ、ハッシュタグで書き込んでいる参加者同士の間に一種の連帯感が生まれ、会場に突っ込みながらタグ無しのお喋りを始めたりしたのが面白かった。従来のBBSやストリーミングのチャットなどとtwitterが微妙に違うのは、参加していない人にも漏れ聞こえるところとか、twitter上の「顔見知り」とオフラインの知人がなんとなく交じり合うという、この「融通」にあるな。と思った。

■オフライン(またはオンザグラウンド):

その後、遅くなったが、会社を出て会場へ向かい、2次会に間に合った。初めての方ともお会いして、話も聞くことができ、参加してよかった飲み会でありました。

・ディテール侍・山田さんのアレは、ご本人は「演じている」とおっしゃるが、完全に「素」である。

・田中元子さんと初めてお会いした。気風の良い、じつに素敵な女性であった。ブログやtwitterでまともに批判し、こういう場にもちゃんと出てきて、リアルで面と向かって喧嘩売って罵りあうのが素晴らしい。

・彦坂さんは、一見、とても温厚なお父さんのように見えるところが余計に怖い。例のあれを「公共の利益のため」と書かれていたが、あの歩くエキセントリックみたいなアーティストが考える公共って僕らの知ってるあの公共かしら。

・田中さん木村さん平塚さんら、三賢美に囲まれて座って浮かれて、せっかく会って話しましょうと約束していた実況ボランティア石川くんたちとろくに喋れなくてすまん。またいずれかの機会に。

・関係者各位、お疲れ様でした。ありがとうございました。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://fieldsmith.net/mt/mt-tb.cgi/844

コメント

4年半前 ブログを始められたのは、石川さんのおかげ ^^。
なので、twitterへのご招待が届き、ブログ同様、
「始めればわかる」と、宿題をもらったような気分 です。
ポッドキャスト。 これも始めればわかるのでしょうねえ。
冬休みか春休みか夏休みの宿題にします。(いつやねん。)

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)