残された「気配」
アクセスログ話題のついでに。
もう5年以上も前、まだrssリーダーとかよりも「はてなアンテナ」をよく使っていたころ、自分のサイトやブログをアンテナでチェックしてくれている人なんて数えるほどで、そのうちの何人かとは、コメントの記入やイベントへのお誘いメールなどを通して実際に知り合う機会を得たりもしたが、多くは特に直接やりとりするきっかけもなく、というか、いまだって別にアクセス数なんて知れているのだが、当時は特に、わざわざ自分のページを登録してくれているというだけで、なんだか嬉しい貴重な存在だったのだ。
そういう、アンテナ逆探知系の一人に、toshimというidの方がおられた。toshim氏の日記へたどり着いて、ご本人が大学の先生で、マーク・デイビスの「要塞都市LA」の訳者の一人だということを知った。これもご縁だと思って、単著で出された本を買って読んでみたりし(迂闊に感想なぞ書けないくらい難しかった・・・)、いつの間にかご本人の日記を読みには行かなくなっちゃったが、たまに眺めるアクセスログにtoshim氏のアンテナが記されていて、ということは新着のテキストを読みに訪れて下さっているのだ、という、「気配だけ受信するゆるい親近感」を一方的に抱いていた。
一昨年だったか、何かの拍子にふと、氏の日記(はてなダイアリー)を見てみた。そのときの驚きというか、衝撃は忘れられない。なんと、ご本人が亡くなってから一年も過ぎていた。日記のトップページに残されていたのは、奥様による急逝のお知らせであった。オーナーが更新を止めてからも日記は存在し続け、アンテナは自動的にリンク先を探知して表示を入れ替え続け、たまたまそのページを閲覧して、そのアンテナ経由で僕のブログにアクセスした人が「リンク元」としてtoshim氏のidを記録し、僕は勝手にそれを「toshimさんが読んでくれているサイン」だと思い続けていたのだ。
ネットに残る「跡」は劣化しないために、ちょっと独特の存続をする。無料サービスのホームページやブログなど、もしかするとご本人が亡くなった空き家のようなサイトがそろそろあるかもしれない。いま、toshim氏の日記を見ると、トップのエントリーにスパムコメントがいくつもついていて、それこそ空き家に心無い落書きがされているような感じがして寂しいが、中には友人らしい方による、まるで墓前のメッセージみたいな最近のコメントも残されていたりもする。そして、いまでも僕のブログのアクセス記録には時々、a.hatena.ne.jp/toshimというリンク元が記録される。
1967年生まれ。1994年、筑波大学文芸言語研究科博士課程中退。2005年、筑波大学人文社会学研究科博士号取得。成蹊大学文学部助教授。2006年10月肺塞栓症で急逝。享年38歳。
村山敏勝とは - はてなキーワード


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