2009年6月30日

雨季の週末の記。

雨季の週末。

建築雑誌編集委員会の、小淵沢での合宿というか慰安旅行に、土曜日の夕食と2次会だけ参加することにさせてもらい、僕は家族旅行を兼ねて、金曜の夜から親子で清里にある叔父の別荘に宿泊。

土曜日。

朝、レンタカーで蓼科へ。途中、清里の駅前の荒廃ぶりに驚愕する。僕はこの年齢なので、八ヶ岳周辺の「高原」をめぐる生活スタイルや商品が流行し、ことに清里がプチ原宿化し、周囲の女の子たちがグループで清里へ旅行しては、ペンションに泊まって、丸文字のロゴと漫画チックな乳牛のイラストが描かれた木製のコースターをお土産に買って、小海線の駅の看板を背に記念写真とってきた、そのころのことをよく覚えている。というか、ここ10年以上清里などへ足を踏み入れてはいなかったので、僕の清里のイメージはそれ以降更新されていなかった。

高原の農村と別荘地の観光地なんて、狂騒のブームが去って静か、というくらいのほうが環境としては良くなるんじゃないかとも思うが、こういう「かつて栄えたことがある町」はその栄えた時期がいつだったかによって、風景の痛さに差がある。清里駅前はちょっと気の毒である。仮にこのまま駅周辺の建物が取り壊されずに残り続けたとしても、「昭和60年代の街並み」が古街道の宿場町のような資産になるとも思えないし。いや、なるのかもしれないが。

途中で母親をピックアップして、蓼科の恵泉ガーデンへ。この、恵泉の園芸研修センターとして作られた施設は一般公開されていないのだが、僕の母が恵泉女学園の卒業生なので、その伝手で見学させて頂いたのだ。

いや、維持管理の繊細さと植栽への配慮と知識と趣味のよさが敷地中に横溢する、素晴らしい庭園であった。いいものを見た。

ガーデンは、その土地の固有な自然環境と、庭師の介入が引き起こす生態学的攪乱との拮抗である。僕ら鑑賞者は庭師の手の痕跡を通してその場所の潜在的自然を透かし見る。庭師のイメージが単に外部化するだけでなく、その場の既存状況とがっちり「関係してしまう」のがガーデンの特徴である。緑と付き合うというのはそういうことである。つまり、その場所のベタにローカルな状況に向き合う腹を括るということだ。何が言いたいかというと、そういうスピリットが欠如している場合は造花を(以下略

日が暮れてから、家族を別荘に残して小淵沢へ向かい、建築雑誌編集委員会の食事会に合流。楽しいひとときであった。

ところで僕は飲めないくせに、周囲が飲むとそれにつれて灰になって、じゃなくてハイになって余計なことを喋りまくる悪癖があり、近年の植物つき建築が神経に障る旨を五十嵐隊長に向かってしつこく主張し、そんなに言うんなら今年の暮れにこのテーマで討論するシンポに出ませんかとオファー頂いて、あわわ、速攻で前言撤回してお断りした。危ねえ。そういえば先日、佐藤師匠からお電話頂いて、同じ趣旨の申し出をもらってお断りしたところだった。それはそれとして、もう少し説明できるように言葉を整理すべく、考えておかないといけないのだが、さしあたってもっと自重しよう>自分。

日曜日。

朝、息子の咳がひどくなり、調べても清里周辺などには救急で受け入れてくれる小児科などがなく、結局甲府市内の病院まで行くことになって急行。吸入したり点滴したりしてもらい、また清里へ戻って、予定していたレジャーはぜんぶ切り上げて帰ることにし、午後すぐに出発したのに帰路の中央高速は駐車場のように渋滞していて、帰宅したのは午後8時。

おまけに自宅についてから別荘に僕の鞄をひとつ置き忘れたことに気がついた。やれやれ。急いで必要なものは特に入っていないが、洗濯物満載の鞄なのだった。次にいつ、取りに行けるかわからないが、中身はカビだらけのシャツやパンツだろうと思われる。うげ。

イデ緑

じつは先々週に終わっちゃったんだけど、以下のイベントでレクチャーをしました。

IDEE GREEN SEMINAR Vol.1「緑の東京をつくる。遊ぶ。」 | Blog | IDEE HOUSE PROJECT

お招き下さったIDEE関係者の皆さん、会場にお運び下さった皆さん、ありがとうございました。

ご一緒した、「緑のカーテン」の伝道者にして小学校の音楽の先生、菊本るり子氏が最初にお話しされた。
菊本先生のお話は、ご自宅や学校での試行錯誤の実践のプロセスと、実際に夏季の屋内環境の緩和の実証的報告と、子供たちや自主的なサポーター群や、企業や行政や政治家を巻き込んでゆくそのパワーと、おまけに最後に子供たちの歌に乗せて学校でのゴーヤ栽培のひと夏のシーンが次々に映るという、感動的に反則技なプレゼンテーションであって、僕はもう、打ちのめされて、自分の番になる前に帰ろうかと思ったぜ。

僕が用意していたのは主に路上園芸ネタであったのだが、最初の15分ぶんくらい「米英日に見る、住宅地の前庭のありかたが示す公私の空間の扱い」というような内容の、わりと固い話題をくっつけていた。これのおかげで、僕自身の気持ちの切り替えというか、心の準備になって、最後は結構いいノリで喋れたのであった。あー、これ用意しといてよかった。

菊本先生の当日のログ:
IDEE GREEN SEMINER-緑のカーテンのある暮らし

2次会にも参加し、緑のカーテン応援団の皆様や、写真家の瑳山ゆりさんらとお会いした。

IDEEから関係者に案内メールを送るという、必ずしも一般公開ではないイベントだったので、こちらで告知しなかったのだが、それでも会場に何人も知り合いがいて嬉しい驚きでした。皆さんどうもありがとう。

小林さん身に余るレポートありがとうございます。
バドン|マニアパレル:イデ緑

会場で配布していたゴーヤの苗を4ポット頂いて帰宅。さっそく我が家の菜園の横に地植えした。
あと、建築家は造花使えよ造花(関係ないけど)。

2009年6月10日

パワーポイントの鬼

庭先にアジサイが咲き、葉にカタツムリが這い、雑木林は緑に湿るこのごろ、お6月ございます。>各位

インドネシアへ1週間出張。現地で、藤村龍至さんと大学時代に同級だったという人とご一緒する。
なんという狭い世界であろう。

翌週、今年から非常勤でお手伝いすることになった千葉大園芸学部で「緑地環境学実習1」が始まった。

何をどのように行うかという内容は決めてあったものの、実習の合間にレクチャーするスライドの材料や講義ノートなど、細かい資料の作成が間に合わず、往復の機上で作業。電話もかかってこないし、他に何もできないので、実に集中して作業ができる(肩は凝る)。

火曜日、松戸へ。予定外の事で職場を出るのが遅くなってしまい、初回からあわや遅刻かというくらいギリギリに教室に着き、最後は終了時間を間違えて、受講している学生に「先生、時間オーバーしてます」と指摘されて慌てた。

でも、千葉大キッズは予想よりもずっと手ごたえもあったし積極的(予想よりは)だったし、70人というのは恐れるほどには膨大な人数というわけでもなく、なんとか射程距離に収まる範囲だということもわかったし、顔見知りの院生がふらりと手伝いに来てくれたりして、今後が楽しみなスタートでした。

消耗して帰宅。
息子(6歳)が食事に付き合ってテーブルについてくれた。

僕 「今日はもう、70人と対決して、くたびれたよ」
息子「タイケツってなに?」
僕 「戦うってこと」
息子「70人とどうやってタタカウの?」
僕 「パワーポイントで。」
息子「パワーポイント。ポイントを教えながら逃げる。」
僕 「逃げる?」
息子「ポイントを教えな・が・らだよ。それで、追いかける人はポイントを聞くまで動いちゃいけないの。」
僕 「なんだそりゃ」
息子「いま思いついたゲーム。」
僕 「ポイントって何だよ。位置情報みたいなもんか」
息子「たとえば木とか。それで、『木!』って言ったあとは木に触るとセーフなわけ」
僕 「だってそれじゃあ、自分のすぐ近くのモノをポイントにすれば簡単じゃんか」
息子「でも追いかける人はさっきまで鬼だったんだよ」
僕 「?」

この話のズレ具合はどうよ。というか、パワーポイント→応用型鬼ごっこ、という飛躍は、いったいどういうイメージの喚起のされ方なんだ。