2007年12月14日

Japanese Ultimate Nerve-racking Kingdom (JUNK)

Amazonから今日届いた。
ジャンクション
ジャンクション
大山顕著、メディアファクトリー (2007/12/12)

いやもう、総裁の「新景観」愛が横溢する、高速道路のジャンクション・写真集/観賞ガイド。同じ出版社から出ている、萩原雅紀さんの「ダム」と同じ装丁になっている。

全体を通して眺めてみて思ったが、僕は、邪魔物のない平地でゆったりと最適化されているジャンクションよりも、河川や既存のビルや住宅地に挟まれて立体的にのたくっているキツキツのやつのほうが好きなようだ。なんかこう、エンジニアリングの苦心が物体化しているような緊張感がある。その、こっちを向いて笑いかける余裕のなさが、禁欲的でよろしい。

ジャンクションの写真群はウェブサイト:日本ジャンクション公団でも見られるが、やっぱりこう、製本されて手に持てるのはいい。「本」のインターフェースってほんとに良くできていると思う。来年にはいよいよ「団地」が、「工場萌え」を出した東京書籍から出版される(はず)だが、どこまでゆくのかこのシリーズ。次に「グリーンベルト」なんてのが出たらすごいな。

さて、僕はこの写真集には、前作の「工場萌え」とはいささか違った感慨を抱いた。ページをめくりながら、なんか、ジャンクションに向かって静かに佇んでいる「鑑賞者の孤独」みたいなものを感じちゃったのだ。いや、「工場萌え」の場合、写真撮影とテキストと、複数の著者が役割分担をしたために、ややはしゃいだ感じがするだけなのかもしれない。「恋する水門」の佐藤淳一氏が、

工場とかダムとかって、何て言うか、栄養ドリンクみたいな使い方できるじゃないですか。見てて元気出るようなところがある。それに対して水門って、見てて元気が湧いてくるようなものじゃないんだよね。むしろ鎮静剤とか、睡眠導入剤の類に近い。(中略)『恋する水門』は癒し効果を狙ってお使いください。ダムや工場のように、にぎやかに盛り上がったりはしませんよ。

via: Das Otterhaus:使用法にご注意

と書かれているが、そしてたしかに、「工場見学ツアー」などでは、移動中は、半分は照れ隠しで、半分はお互いに気を遣って、「工場なんぞ観賞しに来ている私たち」自身のセルフアイロニカルな笑い話に盛り上がっていたりするのだが、実際に工場に見とれているときは皆、誰も彼もすごく無防備に孤独に静かに工場と向き合っている。

最後のページ、著者があとがきのように記している一文が素晴らしい。引用するのがもったいない。みんな買え。

コメント

う、こ、、これはつい手を出してしまいそうです。
橋桁に注目したいデス。

7冊くらい買って友人親戚に配ったら。