郊外で郊外本を読む
・東京から考える—格差・郊外・ナショナリズム 東 浩紀、北田 暁大、NHK出版、2007
お二人が、東京と近郊のいくつかの地域をサンプルにしつつ、いわば郊外化する都市・東京について、その現在と今後とそれが映し出す社会の趨勢について対談。なお、僕は、北田氏の発言や「あとがき」に多く共感した。
青葉台とか池袋とか荻窪とか、それぞれの地域の「分析」には、東さんの家探しに付き合わされているみたいでいささか辟易する部分もあるが、「都市を覆ってゆく人間工学的デザイン」とか「観念的ナショナリズムから地のナショナリズムへ」とか、その「言い当てかた」が冴えてるし、都市(あるいは郊外)への、何らかの「計画的関与」を生業としている人にはとくに、使えそうなネタは満載。いくつかのキーワードは、例の「環境管理型権力」のように、現在の(多少でも公共的な正確を帯びた)デザインが直面する社会的課題への補助線として使い回せそうだ。
ことに、「善意で」都市の郊外化に荷担し加速せしめることが「業(ごう)」であるラ系は、このへんのことをマジメに俎上に乗っけておいたほうがいいと思うな。「下北沢」をデザインすることはできないのは、先日の「団地愛問題」と同様の議論である。ラ系の場合の、団地愛問題に似た構造の問題は「地域性」とか「自然」とか「風景」というタームで浮上する。
以下をまだ読んでいない場合は、セットで読むといいかも。
・自由を考える—9・11以降の現代思想 東 浩紀、大澤 真幸、NHK出版、2003
僕自身は、国道16号線的風景を称揚する物言いが嫌いで信用できないが、誇張された「地域の個性」もなんだかイヤである。
ちなみに、六本木ヒルズをして、あれは「郊外」だ、と最初に言ったのは(僕の知る限り)ぽむ桂さんだ。
ぽむ日記 2003年4月27日
・郊外の社会学—現代を生きる形 若林幹夫、ちくま新書、2007
「東京から考える」を読んだ直後にこれを書店で見つけて購入。
「東京から考える」も面白かったけど、こちらはそれ以上に、もう心に染みいる読書であった。これまでの若林氏の「郊外本」よりも、ずっと当事者的な立場で書かれている。なんか、郊外への「愛」を感じてしまった。
・・・そのような生の集合性の場所として、郊外という社会はある。そんな郊外を生きてきたひとりの社会学者をゴーストライターとする、個人的であると同時に集合的=社会的でもある”郊外の自叙伝”として、この小さな本は書かれたのである。うう。もう一回読もう。
・科学はどこまでいくのか 池田清彦、ちくま文庫、2006
文庫化されていたのを見つけて購入。あらたに加えられた「やや長いあとがき」のためだけにでも買ってよかった。
・「ランドスケープ研究 Vol.70 No.4」
造園学会誌。特集;近代ランドスケープ遺産の価値とその保全。ここに掲載の、小野良平「近代の公園の文化的価値とその保全の意義」。いやこれは、学会誌では久し振りに面白い論文であった。
土木構築物や建築物が文化的「遺産」となるとき、しばしば「公園化」して存続する。でも「公園」はすでに公園であって、つまりたとえそれが文化的遺産とされたとしても、公園が公園であるためには、現役であり続けるしかない。そして公園が現役であるためには、その時代・その地域が公園に要求する様態に応えて改変されなくてはいけない。のか?というジレンマ。


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