2007年2月27日

トラバ

トラヴァース
南 泰裕
430607255X
鹿島出版会、2006

近年の南さんの、建築文化や10+1に寄稿した論考をまとめ読みでお得。と思って購入。
帰路、通勤電車のなかで何気なく広げて読み始めた。

・・・本を取り落とすかと思った。あーびっくりした。

冒頭、えー、いや、何を書いてもネタバレになるので、何も書けん。
ともかくも、驚愕体験の楽しみを味わうために、何の予備知識もなく本の最初から読み始めてみることをお勧めする。

冒頭もさることながら、近年の南さんの、建築文化や10+1に寄稿した論考をまとめ読みでお得。僕は「都市居住の今日的群像」や「遠い都市、近い眺め」とかが好きだ(初出が専門誌でなく、比較的平易に書かれているから)。

南さんの文章をして、都市から「仲間はずれにされているような」と評したのは佐藤師匠だったかな?なんかこう、外国の街でも見るみたいに、ここはどこだ、しかも俺は誰なんだ、という感じの、独特の寡黙な孤独感は、たとえば太田浩史さんが東京を語るときの、「俺の街に何をする!」という地元当事者感覚と対照的。

「トラヴァース」というと、僕が咄嗟に思い浮かべるのは登山用語である。斜面を水平移動することをいう。「トラバる」とも言った。でもいま「トラバる」って言うと、「トラックバックする」に聞こえるな。

南さんの本といえば、南さんが以前に書かれた「住居はいかに可能か」は、千葉大のキノシタ先生が「石川さんお勧めの、あの本、読みました!いいですね!」と、わざわざ僕の携帯に電話してきた本であった。そこまで納得して頂けるとお勧め甲斐がある。

他にもう1冊、キノシタ先生がわざわざ電話してきて「読みました!すばらしい」と感想くださった本があって、それは中谷レーニン先生著「セヴェラルネス」なのだった。

セヴェラルネス 事物連鎖と人間
中谷 礼仁
4306044602

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コメント

『トラヴァース』すでに読みました。
やはり書き下ろしの「冒頭」がすばらしいですね。
といいますか、南さんって、なんでこんなに文章が
上手いんですか。あやかりたい。
いや前からそう思ってたんですが、
あらためてそう思いました。

『セヴェラルネス』は、僕にとって、造園/ランドスケープ原論外伝(外史)という感じで読まさせていただいたんです。

さすがは・・表紙・・南さんらしいですね
いずれ 手に入れて読んでみますが 解るかな~

石川さんと訪ねた住宅は 初建築ということもあって
南さんスタイル、自身が正直にでてましたね 
場違いかもしんないけど、この場を借りて
 出版 おめでとうございました!

こんどサインもらってきます。

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