2006年8月12日

機上にて。まとめ書き。

最近の月光仕事。


7月20日(木曜日)。
「東京の凸凹地図」を企画した会社の方が、同じシリーズの「日本列島の地形」の本を送ってくださった。

・千葉達朗編「日本の凸凹」技術評論社、2006。

「赤色立体図」という、独特の地形表現法で描かれた、日本の地形。
すごい。としか言いようがない。海底地形を含めた、地殻の上に乗っかってる日本列島の様子。
1mメッシュデータ(!)を立体表示した、有珠山や浅間山や三宅島。生々しい赤色と相まって、なんか、まさに地球の皮膚というか、内蔵が見えてるような感じ。

さらに、この「地表系シリーズ」の、次なる本の企画の相談に乗って欲しい旨、メール頂いた。
速諾。


7月29日(金曜日)。
韓国のテレビ局から、取材の申し入れのメールが届いた。
ネタは、やはりGPS地上絵。なんと、翌日の土曜日に撮影したいという。普通ならあっさりお断りするところだが、メールは丁寧できちんとしていたし、どうやら思わぬ事故で、日程や取材先の予定が狂ったらしくて、相当せっぱ詰まっている様子だったし、「まあ、それじゃあ、日韓交流にささやかに貢献するということで」と引き受ける旨お返事した。

そうしたら、画像ファイルが送られてきた。番組のタイトルを描いて欲しいという。ハングル文字で。

あのですね、それは無理です。線が切れてるし、僕の自宅の周囲に丸い道路なんてないし、第一、こういうの「見つける」のが一番難しいところで、最初から「お題」が決まってるのは本来のやりかたじゃない(とはいえ、これまでのメディアの取材はそういうのばっかりだったが)し、こんなの翌日にやるなんて、さっき僕が送ったメールで述べたGPS地上絵の「原理」を読んだでしょう?自転車で走る「ふり」しかできませんからね。と電話口で罵倒し、それでもつい、自宅周辺の道路地図を印刷して、通勤帰路、眺めていたら、近くの公園の一部を利用して描けそうなところを見つけてしまい、そうなると面白くなってきて地図をひっくり返して鉛筆で下書きし、自宅へ帰り着くまでにコースを計画してしまった。

そういうわけで、土曜日、1時間半くらいかけて首尾良くやり遂げた。妻が仕事で不在だったため、子供2人乗っけた自転車で。暑かった。2キロぐらい痩せたんじゃないかと思う。ハングルは感動的にうまく行った。韓国のテレビのディレクター氏は大喜び(当然だ)。

翌週、テレビでの放映後に、教わったパスワードでテレビ局のサイトにアクセスし、ストリーミングで番組を見た。自分の「外国語吹き替え」を見るのは初めての経験であった。今度、木下先生夫人に見てもらおう。どういう風に紹介されてるのやら。


8月2日(水曜日)。
大阪の忽那氏が、「マゾヒスティック・ランドスケープ」と、雑誌「OSOTO」を送って下さった。
「OSOTO」は、大阪の公園協会をスポンサーにして編集、出版している模様。紙面は最近のスローライフ雑誌風で、名前もいかにもベタだが、記事はなかなか気が利いていて、その一生懸命さに好感が持てる。「『マゾ』は駄目だけど、雑誌はいいですね」という旨、メールしたら、返信で原稿依頼を頂いてしまった。
しまった。誉めるんじゃなかった。じゃなくて、上手いなクツナさん。ううむ。


8月4日(金曜日)。
新建築の原稿をなんとか書き上げて編集部へ送る。

翌日、そのページに載せる写真を撮りに、家族みんなに付き合ってもらって自転車で府中へ行った。
さすがに、5,6世紀を経ている大國魂神社の参道のケヤキはものすごい。これに比べたら、最近やたらと奉られている明治神宮表参道のケヤキなんてほとんど「若木」に見える。

あと、府中市美術館の前庭が、ササがはびこってすごいことになっていた。株立ちのシラカシが伸びて、丸く刈り込まれていてなんとも野暮ったい。繊細なデザインだけに、維持管理が「外れる」と痛いなあ。竣工当時は目を見張るほど感動した庭だったが。


8月8日(火曜日)。
エクスナレッジ・HOMEの編集部から、「ザ・藤森照信」が届く。

目次に僕の名前があるが、これは編集部から「200字以内で一言」と依頼されて、そのメールへの返信で「はいよ」と書き送った駄文なので、飛ばし読みください。

それはさておいて、これは買いだぞ。本城直季さんの写真もおそろしいほど「はまってる」し、それぞれの記事も非常に面白い。「質問状」というコーナーでは、難波和彦氏のサステナブル建築への批判の「落とし前」もあったりする。巻末のほうの、岡崎乾二郎氏との対談がすごい。ちょっとやばいくらい。「袋とじ」にしても良かったんじゃないだろうか。ガキは読まないほうがいいぞ。まじで。

あと、先週、テレビの取材の打診をふたつ、番組の企画の相談をひとつもらった。
ウェブマガジンの取材依頼もひとつ来た。これは、いきなり日程を寄越したので、そんなの対応できないです、と書き送ったら、返信がない。


以下、最近の通勤本メモ。

・佐藤卓己「メディア社会—現代を読み解く視点」岩波新書、2006
これは面白かった。ネタ満載。新聞の連載をまとめた本なので、短編集みたいな趣だが(そのため、「議論が深みに欠ける、という批評がオンラインに散見されるが、じゃあ「深い」ってなんだよ)、少なくとも最近立て続けにいくつか読んだ、ウェブ2.0系の「いままで見たことがない世界が広がっている」と、単に「見たことがない」人が騒いでいる本よりは遙かに、256倍くらい面白かったのだ。

・大場秀章「植物学の楽しみ」八坂書房、2005
・三井誠「人類進化の700万年」講談社現代新書、2005
・小松左京「天変地異の黙示録」日本文芸社、パンドラ新書、2006
・佐伯啓思「『欲望』と資本主義」講談社現代新書、1993
・小田中直樹「日本の個人主義」ちくま新書、2006
・諸富徹「思考のフロンティア・環境」岩波書店、2003
・伊勢田哲治「哲学思考トレーニング」筑摩新書、2005
・春日武彦「奇妙な情熱にかられて」集英社新書、2005
・仲正昌樹「『分かりやすさ』の罠」ちくま新書、2006
・檜垣立哉「生と権力の哲学」ちくま新書、2006
・吉井譲「論争する宇宙」集英社新書、2006

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コメント

藤森本買いました。

編集長はオトナなので藤森本お勧めです。

赤色立体地図、遅ればせながら今日認識しました。
グラウンディングのときも、「色が足りねえ問題」が話題になりましたが、それはやっぱり問題だったのですね。
http://lsweb1.ess.bosai.go.jp/jisuberi/SlopeHP/rrim/rrim.html

「人間の眼は赤色に敏感」には納得です。
でもなんか、内臓の内壁みたいにも見えますよねあれ。

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