地しるべ図
地図と道標が一枚の画面に共存しているサインをデザインしている。 たいへんに難しい。おなじ道案内であっても,地図と道標とでは表象の形式が全く異なっているってことをあらためて思い知る。
これは悩ましい。というか面白い。というか、期待大。
これはそのまんま、「グラウンディング」の中心課題のひとつだ。
最もシンプルで端的な道標は「右・上野、左・本郷」みたいなやつである。現代の都市では、最も普及していて頻繁に目にする「道標」はたぶん、道路の交差点にある、地名と矢印の入った標識だ。「道標」は「道」を媒体にした、その地点における土地と「私」とのシークエンシャルな関係を示唆する装置である。だから、道標は現実の地表にあって、それが「どこ」にあるかということが重要である。その「地点」の固有性こそが、道標を「道標的」たらしめている。本質的にメタ情報であり、携帯可能な「地図」と道標が異なるのはそこである。
カーナビでは、交差点の拡大透視図みたいな画面と、現在地を地図上に表示した画面に分かれて表示するものがあるが、「道標」と「地図」を無理にくっつけると、あの見にくい「フレーム表示」みたいな画面になるのだろう。
いや待てよ、駅前広場や地下鉄の出口によくある「現在位置」が示された地図はどうだろう。あれは「地図」だが、けっこう「道標側」に寄ってるな。道路標識も、首都高の入り口にある、高速の路線図のダイアグラムに近いものはわりと「地図」的だ。
関東学院のデザインスタジオの課題にしてもいいくらいだなあ。
「対象となる街区について、そこを案内する、地図的なものと道標的なものを同時に表示するサインをデザインせよ」
・・・いやこれは課題にするには難しすぎるな。
コメント
難しすぎると思います(笑)。
「地図的なものと道標的なものを同時に」ではなくても、
「地図的なものと道標的なものを別々に」作っておいて、
それらを「スパーク」させるための行為(活動)をデザインせよ、みたいな。
Posted by たなかひろや at 2006年7月18日 16:50
>最もシンプルで端的な道標は「右・上野、左・本郷」みたいなやつである。
私は、コレ↑シンプルな道しるべ、信用なりませン。
風か事故かで、「右・左」の看板の 角度が間違っていて、
まったく違う方向むいていて、よけい迷うことが多いんですyoー。
Posted by keixxx at 2006年7月19日 00:38
なるほど。
教訓をひとつ得ました。
道しるべは石に刻むべし。
Posted by 石川初 at 2006年7月19日 01:04
コンパスと地図が最強。
外国へ行くとやっぱりこれですもの。
アテネでも上海でも外国語はやっぱり難しい。
Posted by 田中浩也 at 2006年7月19日 02:06
アメリカにもイギリスにもGPS Map60CS-J、中国にはeTrex Legendを持参していますが、なかなかよいです。中国はしかし、都市部の変貌速度があまりに大きいので、都市詳細地図がすぐアウトデートになるでしょうなあ。
Posted by 石川初 at 2006年7月19日 16:14
こんにちは。はじめて投稿させていただきます。
わたしは、素人なんですが
「地図的なものと、道標的なものを同時に」というのが
めちゃくちゃおもしろいッ! と思い
それはもうかつてないほど、こうふんしました。
これからちょっと、いろいろ考えてみることにします。
Posted by 散歩者 at 2006年7月19日 18:08
散歩者さま:
おお。そのツボに反応するかたなら、「地図Night」にお呼びしても語り明かせそうな予感がします。
グラウンディストとしては、雑誌10+1の先号、
http://tenplusone.inax.co.jp/backnumber/no42.html
をお手にとっていただけたらとっても嬉しいこのごろです。
Posted by 石川初 at 2006年7月19日 23:30
「地図を読めない人」って結構いますけど、地図にまつわる様々な問題のかなりの部分のヒントは、この「読めない人」の中にあるような気がしてなりません。て話を「グラウンディング」の時にしたかったなあとずっと思っております。
(言葉さえわかれば)道標を読めない人って、あんまりいないですからね。
Posted by もとなが at 2006年7月25日 13:20
地図が読めない、って検索すると、「話を聞かない男、地図が読めない女」の本に関するものがぞろぞろ出てきますな。
「話を聞かない奴」は道標も見落とすんだったりして。
Posted by 石川初 at 2006年7月25日 22:17
「地図が読めない -話を聞かない」で検索してもやっぱり右脳左脳や人の性質の話ばっかですね。
でも、そんなことには興味なくて、
地図を読めない人が地図を描くとしたらどんなものなのかとか
そういう人は読めない地図を見ているとき何を見ているのかとか
そういう人に、いかに地図という形式がわかりにくいものなのかを図で表現してもらうとか
そういうのを見てみたいんですよねー
もはや、地図を読めないというのがどういうことなのか、正直いってよくわかんなくなってしまったので。
いつから読めるようになったのかなーオレ。
Posted by もとなが at 2006年7月26日 03:36
こんにちは♪
地図が苦手、という話なだけで、
いっつも話を ちょぃ ずらしてしまっているようで申し訳ないです。>ぺこり。
1.個人的には、地図が苦手 の前に、
すでに、「右」と「左」が、苦手です。
右がどちらか、が、すぐにわからないんですね、
両手でエアー鍵盤(空の鍵盤)を弾いてみて、
「あ~、こっちがドレミファソラシドだから、右ね」と、
いつも、やっています。
右に曲がって、戻るときに、
同じ角を左に曲がる、というのも難しいです。
2.10年以上前に、ある企画で、
20代の女性 数十人に、世界地図を描いていただいたんですね~。 小学生の頃から見ているハズの世界地図。
ごっつい、めちゃめちゃでした、
人びとの頭の中にある地図は。おもしろいですよ~。
Posted by keixxx at 2006年7月31日 13:21
それやりたいんです。「記憶地図大会」。
地図メカのおっしゃるように、地図が読めないと自称する人の記憶地図が興味深い。
Posted by 石川初 at 2006年8月 1日 20:37
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