坂道煙台
火曜日から金曜日まで中国へ。
今回は、珍しく一人でなく、(組織表上はいちおう『部下』という体裁の)K池くんと2人。いやしかし、プレゼンテーションにしろ、実施設計の打合せにしろ、こちらが「2人いる」というのはほんとに楽だ。仕事の効率がぜんぜん違う。とはいえ、それにしてもやはり時間が足りない。どーしてこう、したいこととしないといけないこととできることとのバランスは、常に合わないのであろうか。いや、仕事を頂けるのは有り難いことだ(←泣き言の社会人的表現)。
出張2日目、天津のホテルをチェックアウトしようとして、財布が見あたらないことに気がついた。
前の日、ホテルにチェックインするときには手に持っていた記憶があるが、そのあとどうしたか、まったく覚えがない。部屋も荷物の中もひっくり返して探したが、出てこない。同行していた通訳嬢が、もしかしたらエレベーターで掏摸に遭ったかも、という。30分ほど探した末に、半ば諦めて、カスタマーサービス番号へ電話してクレジットカードを止めてもらい、さらに妻に国際電話をかけて、銀行カードを停止してもらった。
そうしたら、夕食を摂ったホテルのレストランのテーブルの下、テーブルクロスに隠れて落ちていたのを、従業員が見つけてくれた。なんという間抜けな。やれやれ。
ほとんど総出で探してくれたんじゃないか、と思うほどの対応をしてくれた天津のホテルの皆さんありがとう。カードを無駄に止めちゃったが、まあ仕方ない。三井住友ビザの電話対応も迅速で的確で助かった。銀行カードも素早く処理してくれた。でもこれで、大学生のとき、生まれて初めて自分の名義で銀行口座を開設して以来、20年以上も使っていた、クマのパディントンのイラストの入った、ほとんど年代物のバンクカードともおさらばだ。
今回は、初めて「煙台」という沿岸の街を訪れた。海岸に向かって傾斜する土地。中国の仕事では、これまで、ほぼ平らな土地の都市しか見ていなかったので、坂道がやけに新鮮だった。ここも対外経済開放都市で、都心部では激しく再開発が進んでいる。それに荷担しておいて言うのもなんだけど、共産党時代(いや、いまでも共産党時代ではあるんだけど)に建設された、埃っぽい古めかしい集合住宅が密集している、歩道にテーブルと椅子が出されて、シャツ姿の老人達が昼間から座り込んでお茶を飲んでる、そういう地区の方が、外タレ建築家を使って派手に作ったショッピングモールやタワーマンションの並ぶ大通り沿いよりもずっと魅力的に見えてしまうのだった。いや、ありきたりな結語だな。