2006年1月 4日

年末年始の「いくつか」の本。

年末年始本。

  • M. G. Turner, R. H. Gardner, R. V. O'Neill著、中越信和・原慶太郎訳「景観生態学」文一総合出版、2004

  • 調べたいことがあって再読。

  • 野中健一編「野生のナヴィゲーション 民族誌から空間認知の科学へ」古今書院、2004

  • カラハリのブッシュマン、極北の雪原のイヌイト、マレーシア熱帯雨林のオランアスリ、ミクロネシア・カロリン諸島の海の民、といった狩猟採集民族が、どのように空間を認知して広大な土地を正確にナビゲーションしながら移動しているか、という報告。たとえば、ジャングルのオランアスリが身につけている、河川の流域の認知地図は、個人の出生やエピソード、そのときの集団のキャンプ位置など、「個人と川とを結びつける」クロノロジーとして記憶されるという。「海の民」のナビゲーションはちょっとすごい。周囲に島も何も見えない大洋上で、星座によって「方向」を把握しつつ、「エタック」という「見えない(想定された)島」を支点にした「仮想グリッド」に乗ってカヌーは進む。
    「移動するUCS」とでも言いましょうか。にわかには想像できないような「認知地図」。
    僕なんか、eTrexの電池が切れた時点で完全にロストして、その日のうちにサメの餌になるであろう。
    きっと、スリバチ学会長の皆川や、浅草キッドの水道橋博士は、この「エタック」が見えているんだろう。

  • 中谷礼人「セヴェラルネス 事物連鎖と人間」鹿島出版会、2005

  • 「いついかなるときにも、私たちは何かに触れている。これは実に驚くべきことではないだろうか。」

    「都市連鎖」、「先行デザイン宣言」、「都市の血/肉」と、ようやくにして、中谷氏の思想が(少しずつ)わかってきた(ような気がする)。

    それにしても、「先行デザイン宣言」はよくできているなあ。なんか、去年は1年間そればっか言い続けてきたような気もするが。読めば読むほど、見れば見るほど、もう、いやになるほど素晴らしい。どーしてこれが、特にラ系のあいだでもっと話題にならないのかわからない。

    まあいいや。原稿書かないと。

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    コメント

    石川様、あけましておめでとうございます。拙著をご笑覧いただいたようで光栄です。引用図版見て驚いたのですが、なんと鹿島出版会からの本の引用が多いことか。いい仕事していていたんですね、鹿島出版会(←当たり前か)。何かこの言い回し分けわからんとかそういうところありましたら、ご連絡ください。それを起点にまた考えてみます。「ラ系」の方々って具体的にどういう人たちなのか僕はあまり存じ上げていないのですが、ぜひ意見交換などしたいとおもいますです、はい。それでは今年もよろしくお願いします。

    中谷さんあけましておめでとうございます。今年は是非大阪へお邪魔したいです。「いくつか本」にサインしてください。

    頭の回転が遅いので、じつはまだ、この興奮をうまくラ系に伝える言葉になっていないのですが、ラ系はですね、(僕がラ系を正しくリプリゼントしているかどうかがそもそも重大な疑問ですが)いきなり「セヴェラルネス」だけ読んでも問題意識を共有しそこねるような気がして、いっそ、先行デザインその他の資料をぜんぶ合わせて、ラ系ワークショップでもやりたいです。

    大阪に来られることを心待ちにしています。僕しか知らない(でも酒の席ではいつも話して驚かせているので回りは知っている)古代史にかかわる重要な問題があるのです。なんてもうオカルトチックなのですが。大阪に来てまず始めに地図を買ってそれに気づいたのですが、誰も言及していません。それが真実かを確認していただきたい!ナス化計画で!!それと日本どさ回りの旅の企画とおったらよろしくお願いします。

    うわそれわ楽しみです。
    よおおし、今年も面白いことが山積みだぜえええ!自己鼓舞。

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