2005年10月24日

エコロジーとしての老子思想

火曜日。
朝5時に自宅を出て、いつもながら飛行機に乗ってる時間よりも長い時間をかけて到達する成田への道のりに悪態をつきつつ、9時過ぎのエア・チャイナで北京へ飛び、中国の国内線に乗り換えて済南へ。
黄河下流域にある済南市は山東省の省都で、人口590万だかの、経済発展著しい(そんな都市ばっかりだが)街である。今回のプロジェクト、ニュータウン建設が進行中の敷地は、山東省最大のセメント工場の跡地で、市の外れにある、広大な石灰岩の岩山だった。。。

水曜日。
一日中、図面を挟んであーだこーだ打ち合わせし、夕方に市街地へ出て植物園を見学し(なにしろ国土が広くて、都市ごとに気候が異なるので、新しい物件のたびにその土地の植物を勉強する羽目になる)、市の中心部に伊勢丹とカルフールとウォールマートがあるのを発見し、書店で地図やガイドブックや郷土資料をドサドサと買い込んで、タクシーでホテルへ戻る。
同行したクライアントの担当者(30歳の女性)と夕食を摂りつつ、エコロジーの話から老子思想に話題が展開した(老子の話は彼女が言い出した)。孔子の教えはポリティクスで、老子の教えはエコロジー(彼女がそう言ったのだ)。

木曜日。
朝一番の飛行機で北京へ戻り、僕の事務所のエージェントをしてくれている女性に合流してもらって、クライアントの本社で副社長に現地出張の報告を行う。その場で、予想もしていなかった別な新しいプロジェクトのオファーをもらって、目眩を感じつつ図面を受け取る。
OMAに勤めていて、北京在住の(CCTVの現場に貼り付いている)シライくんに電話し、お昼をともにする。クライアントの担当者、Xueさんは中国語と英語。エージェントのLuさんは中国語と日本語。シライくんと僕は日本語と英語。つまり食卓を囲んで「4人全員に一度に通じる国語がない」、という錯綜した言語状況だった。でも、歩く北京グルメマップと化しているシライくんに連れて行ってもらったレストランの中華料理はおいしかった。
Xueさんが、「なぜCCTVはあのような形状のデザインなのか」と、まともにシライくんに質問した。そんなの、お昼ご飯食べながら説明できるような話かよ、と思ったのだが、シライくんは淀みなく「コンセプト」を説明した。きっと何百回も同じような話をだれかれにしてるんだろう。
シライくんは、ちょっとイギリスっぽい、ヨーロッパ風アクセントの英語で、早口にパキパキと話す。かっこいい。それに比べると僕の英語はいかにもアメリカ中西部南部寄り訛りの「会話体」で、なんか田舎っぽい。
お昼を終えて、事務所へ戻ってばたばたと荷物をまとめて空港へ。石灰岩と老子とCCTVの夢にうなされながら最終便で帰る。いやはや。
次回、シライくんには美味しいお寿司屋さんへ連れて行ってもらう予定。

コメント

中国人の老子観ってどんなもんなんでしょう。日本人が考える「自然体な」タオイズムとは違いそうですけど。

政治家は表向きは孔子の言を引いたりするけど、実際は老子のほうが好きな人が多そう。貫くより泳ぐ人の方が多いですよねどう見ても。

「私達は小さい頃から何かにつけて老子の言葉を聞かされて育ち、頻繁に触れているので、その思想は私達の思考の一部になっている」という話のほか、いろいろ聞いたんですが、実はよくわかんなかったのです。次回もっと正確にくわしく聞いて来ます。ああ。中国語勉強しないと。まじで。

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)