2005年10月25日

Get the B__ch, Girl.

先週の金曜日。金曜の京王線最終電車は、乗客の大多数が酔っぱらっているので、車内がおぞましく酒臭い。みんなぐらぐら揺れてちゃんと立てないため、朝よりもずっと少ない人数なのに、一人一人の専有面積が増えていて、やらたと「混む」。新宿を出たときにすでに混んでいるが、明大前で井の頭線に接続し、ここで渋谷方面から酔ったガキどもがなだれ込んで来て、事態が更に悪化する。

僕はドア近くの座席の脇の手すりに身を寄せて、なんとか本を読もうとしていた。
明大前で乗り込んで来た若い女性の頭に、あとから押し入った大学生風の背の高い男の子の肘が当たった。女性は(小柄で、けっこうキレイな人だったが)なんか虫の居どころが悪かったらしく、振り向いて男の子を睨みつけ、「なにすんだよ」というようなことを言った。「すいません」と男の子。たしかにちょっとぞんざいな謝り方ではあった。すいませんと言いおいて、すぐさま後ろを向いて、連れのガールフレンドらしい女の子と喋りはじめた。これが余計に気に障ったみたいで、「てめー、謝り方もしらねーのかよ」と女性がカラんだ。男の子が振り向いて「・・・わざとじゃねーよ」「なんだと?わざとじゃなきゃ謝んねーのか?」「すいませんって言ってるだろ」「なんだてめー、女の前でいいかっこしやがって」ここで男の子が逆ギレ。その女性もいささか普通じゃない性格なのか、あるいはよほど不機嫌だったのか、男の子を挑発し続けた。激しい罵り合いが途切れなく続いた。ガールフレンドが袖を引っぱりながら、しきりに小声で「相手にするな」という意味の事を言っているようだった。車内の他の乗客の会話がぜんぶ止まり、みんな目を丸くして(でも目を合わせないようにしつつ)喧嘩を見守った。というか聞き守った。女性のすぐ隣に立っていた僕は、次の駅で3人とも降りてくれることだけを念じた。

祈りは天に届き、千歳烏山で3人は(喧嘩しながら)降りた。ホームで女性が男の子のシャツを掴んだ。そしたら、車内では小声で男の子をなだめようとしていたガールフレンドがいきなり、「なにすんねんこのオンナ!」と、ものすごい声で罵倒しながら女性に掴みかかった。バリバリの関西弁だった。怒った関西弁というのはしかし、スピード感があって凄みがある。当事者の男の子がちょっと唖然とするのが見えたくらい、すんげー迫力。場所とタイミングをわきまえてる、やるじゃねーか関西彼女。頑張れ。そのミュール脱いで頭殴ってやれ。と関西人の僕は一瞬で彼女に加担した(心の中で)。

発車直前、ホームの騒ぎに驚いた顔をしながら、別な若いカップルが乗り込んで来た。「なにあれ」「痴話喧嘩だろ。だいたい男が悪いんだよな。ああいうの」いやー、違うんだけどなあ。と、そのとき、たしかに僕は車内の他の乗客全員と、言葉を交わさないまま「気持ち」を共有したのだった。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://fieldsmith.net/mt/mt-tb.cgi/464

コメント

「渋谷を出たときにかなり混んでいるが、明大前で京王新宿線に接続し、ここで渋谷方面から酔ったガキどもがどっと降りて、事態が急に好転する。」

こういう視点で明大前接続を見ていました。

一度、混んでいる静かな電車の中で甲高い声で携帯使っている男がいて、あまりにもその周辺への無関心の度合いがひどかったので注意したら、こちらにぺこぺこ謝りながら全然やめようとしない。で、そいつの胸を見たら「○○銀行××支店○河×男」という名札を付けたまま電車で商談していたのでした(マヌケ過ぎ)。そいつの携帯のアンテナを持って次の駅でホームに引きずり降ろしたら、車両の何人かの人に「ありがとうございます!」と頭を下げて感謝されたことがあります。ちなみにそのころは銀行の金融スキャンダルが相次いだ時期と重なっていたというおまけがついていました。(あ、銀行関係者いませんよね、ここは。)

>そいつの携帯のアンテナを持って次の駅でホームに引きずり降ろしたら

ああやってみたい一度くらいそういうの。

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)