2005年8月17日

Window to the Living World

日曜日。

Living Worldの展示会「窓」を見に行くべく、レンタカーを借りて益子へ。

カーナビが常磐自動車道経由を勧めたため、迂闊にそれに従ったら、首都高を抜けて三郷から利根川を渡りあたりまでがやたらと渋滞し、えらく時間がかかってしまったが、久し振りに東京から東北方面への街と農地と森林へのグラデーションをたっぷり味わって、それはそれで楽しいドライブだった。

展示会の開かれている「STARNET ZONE」というギャラリーは、益子の街を少し外れた丘陵地の、丘の上にある。周囲はコナラっぽい二次林にスギやヒノキの植林が混ざった、典型的な「里山」である。

陶芸の盛んな地域というのは、地になっている農村に「都会の衛星」みたいに陶芸家の文化が入り込んで点在し、日本に定住して数十年のアメリカ人が藍染めの作業着を着てろくろを回してる、みたいな、田舎のリソースを使いながら、それなりに都会的な生活ができそうな、ちょっと独特の「良い田舎暮らし」的雰囲気をしていることがある。

この地域もいささかそういう匂いはある。ただ、益子の陶芸には江戸以前から続く骨のある歴史と、益子焼きそのものの名の強さがあって、それが、STARNETのような気の利いた「文化」を受け入れつつも、ある種の別荘地に感じるようなあざとさを押しとどめているような感じがした。いい場所だ。

「窓」については、なんかもう、ここにだらだら書き連ねるのがもったいないような体験だった。お昼過ぎに到着し、途中で温泉に行ったりしつつ、結局閉館時間までだらだらと居続けた。

会期は8月25日まで。特にラ系のあなた。万難を排して行くように。後悔しないことは僕が請け負う。

リビングワールド
リビングワールドの仕事展 blog(2005/7/23-8/25)

藤崎圭一郎さんがブログDesign Passageでお薦めされているとおり、

この展覧会はまず明るいうちにひと通り見て、夜の「風灯」を見に、もう一度訪れましょう。周辺に時間を潰す場所はいくらでもあります。スターネットのカフェで食事かお茶をしたり、近く温泉でひと風呂浴びたり、濱田庄司ゆかりの場所を見に行ったり、陶器のお買い物したり、サクッと歩いていける距離にある内藤廣設計の宿泊施設フォレスト益子を見に行ったりできます。

藤崎さんの記事がまた、美しくまとまってる。作品群を評して「宇宙のログ解析法」と述べているが、いやそうなんだよな。「例え話」がどのくらい冴えてるか、ということなのだ。さらに、「エンジニアリングをそっと添える」というのは、Living Worldの作品全般に通じてる、ある「作法」をうまく言い当ててると思う。エンジニアリングを補助線にして、デザインは「デザインできないもの」に思いを馳せるきっかけになるのだ。

今回もまた、聴診器みたいに世界の地上で採音されたサウンドを聴くテーブル「音卓」や、風に点滅する「風灯」を眺めながら、あらためてまたネジが巻き戻ったような気持ちになった。西村佳哲と初めて会ってからもう18年にもなる。いまだに僕の名前を彼がアドレス帳に載せてくれていて、こういうときに「来いよ」と声をかけてくれるというのは、代え難くラッキーなことなのだった。

後味を噛みしめつつ、風灯を予約し、展示作品のひとつ、世界に100人の子供が生まれる時間の砂時計を購入して帰った。このようにして僕は、周囲の冴えた人たちから定期的にフィードされて、食いつないでゆくのである。西村くんたりほさんありがとう。

あと、会場で太田さん伊藤さん紫牟田さんら、東京ピクニッククラブで顔見知りの面々とご一緒した。ピクニシェンヌ伊藤さんは、グルービジョンズの手になる、全身芝生柄のsmartという、ピクニシェンヌ以外のドライバーを思いつかないような車で来られていた。。。

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コメント

行けてないんですよねえ。まだ。やっぱり益子は遠いっす。
以前仕事場のみんなと旅行の途中で益子に寄ったことがあり、オシャレなカフェがあるらしいと言うので、その辺の人に「このあたりにオシャレなカフェがありませんか?」と身もフタもない聞き方をしてスターネットにも行きました。あ、この感じは、そうだとてもLWっぽい、と思って見ていたら、「自分の仕事をつくる」に登場している方のお店でした。

そんな感じで、既知の地域なので、周辺探索というオマケの魅力が薄く、益々益子が遠く…お、益々々子…
と人様のコメント欄で自分に言い訳しても意味ないか…すみません

もしこのコメントの「隠れた意図」が、誰かに背中を押して欲しいということなら、それはぜったいに何をさしおいても見に行ったほうがいいです絶対に。と申し上げておきます。めり。←背中を押す音

あ、そっちはだめです、ちがいます、そっちじゃない、あ、わああああああ
↑仕事の激流に落ちた音

(二次災害の恐れがあるため、救出活動は断念されました)

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