2005年7月22日

Dr. Mと16人のトカゲたち

木曜日。夕方、東京農大へ。都市研にお邪魔した。

というのは、蓑茂先生のご指示一喝、研究室に在籍する院生全員分(!)のハンディGPS(Geko201日本語版16台)を購入したので、使い方(遊び方)をレクチャーしに来い、と呼んで頂いたからなのだった。
いや、GPSが1ダース以上ずらっと並んでる様子は壮観であった。さすが蓑茂先生、実行が断固としていてしかも速い。のたまわく「持たせないとやらないからな、こいつら」。恐れ入りました。いいぞ農大。

というわけで、ラップトップを持って行って、普段やってることをざっと紹介した。先生は地上絵にはご興味がなさそうだったが、Degree Confluence Projectをご覧になって、これはいい、これをやろう、とおっしゃっていた。

で、辺りが暗くなっていたにも関わらず、キャンパスに一番近いミニット・コンフルーエンスへ、ハンティングに出た。行ってみると、ポイントは幸いにも交通の少ない道路の交差点にあって、みんな首尾よく「分00」をゲットした。室内での「レクチャー」のときは、皆なんだかおとなしくプロジェクターの画面を眺めていただけだったんだけど、やはりフィールドへ出ると俄然、テンションが上がる。

僕は間抜けにも自分のGPSMap60CS-Jを自宅へ忘れてきちゃった(だって、朝、子供がむずかったりしてバタバタと大変だったのだ)ため、サカイさんにGeko201を借りて行ったのだが、地図も何も出ないシンプルなGPS受信機を持って歩き回ってみて、久しぶりに「入力アナログ/処理デジタル/出力アナログ」の、ザラザラした「地表系ツール感覚」を味わって新鮮だった。うむ、これはやはり、時々はあのポータブル・カーナビみたいな多機能GPSを自宅へ置いて、素のeTrexを持って出ないといけないな。

帰り際、研究室の助手のジンドウくんと、「グリッドで切り取った、アイレベルの風景スナップショットだけで構成された近隣マップ」のアイデアで盛り上がってしまった(というか主に僕が盛り上がった)。

あらためて歩いてみると、世田谷の街並みは、多様性の密度が高い。角を曲がると商店街だったり、住宅地の「グレード」ががらっと変わったりする。だからきっと、アイレベルの風景ショットで構成されたマップが街全体の「像」を結ぶには、わりと高い密度でサンプリングをする必要があるかもしれない。たとえば調布や府中だと、世田谷よりも粗いグリッドでも地表の風景のグラデーションを描くことができるかもしれない。そういう差は、街の「風景の解像度」の違い、と呼べるかもしれない。そして、その風景のピクセルは、距離や面積という物体的スケールだけでなく、街を移動しながら体験する「速度」と関わりがあるかもしれない。だったら、街のレベルでの空間デザインや、交通のありかたにおける「ふさわしい風景速度」なんてのが推測できるかも。

なんぞというようなことを喋りつつ、帰りの電車のなかで、いつだったか似たような話を誰かとした、というか、聞いたような気がする(つまり元ネタがあった、という気がする)ぞ、と考えてみたら、そうだ、田中浩也さんとお会いしたときに、ピクニシェンヌ伊藤さんから聞いた話だった。。。

ともあれ、ちょっと久しぶりに「原点」に立ち戻ったような、楽しいひとときでありました。研究室の皆さんありがとうございました。

■お知らせ:
というわけで、「時間もガッツもある大学院生が携行する16台のGeko201」を同時多発的に使える、そんな「ツール」でしかできないような、面白い企画を広く募集中。

コメント

同時多発、分交差点横断による将棋版作成は如何?
1 準備段階として、所定の分交差点へと向かう。
例 1号機 N38度01分 E139度00分
  2号機 N38度02分 E139度00分
  3号機 N38度03分 E139度00分
・・・・と10台並ぶ。
2 全員分交差点へと到達後、発進時間を決めて、同時に10分 隣の分交差点へと移動する。
例 1号機 N38度01分 E139度10分
  2号機 N38度02分 E139度10分
  3号機 N38度03分 E139度10分
・・・・というふうに。なお、同緯度で、E139度1分~E139度9分も極力通過する
3 同時(もしくは次)に経度線を1分間隔で引く。
4 到達後、全員のログを集め、作画したとき、将棋版ができ あがり。

ただし、10台×2必要です・・・何が面白いかと言われても、困りますが・・・できる事なら、そこで将棋を行えば、山形県天童市の人間将棋を上回るスケールになりますが、無茶ですね。

風景ショットの類似性を定義するのが難しそうですね.以前にお見せしたマップには世田谷は含まれていなかったのですが,密度や変化から指標をとったときに世田谷の空間解像度がどんな感じになるのかは見てみたいかも.

ところで,先日国際地図学会に一緒に行った院生(田中さんの後輩)は,写真がどの位置でどの方向に向かって撮られるかを地図上にプロットする,という研究(説明が間違っているかもしれません…)をしています.そこから写真が撮られる密度もなんとなくわかったりするわけです.それが何を意味しているかはいろいろな解釈ができてしまいますが.

それってでも、道路が格子状じゃないとできねえな。
世田谷みたいにうねうね錯綜だと、その歪みが。>将棋盤


いやたしかに、漠然とした「印象」じゃなくて、「像を結ぶ」の定義をしようとするとたしかに、計量化しにくいですよねえ。スナップショットを「撮っちゃう」密度、なんてのは、まとまった数のサンプルがあれば、統計的な「傾向」は出てくるのかもしれないけれど。>ピクニシェンヌ@広島←しかし神出鬼没

そのグニャグニャ度が楽しいのではないかと・・・

僕の後輩の、その地図ソフトは、ダウンロードできるのです。

http://www.s-it.org/photofield/pfhtml/photofield.html

PhotoWalkerの弱点を猛烈にカバーするPhotoFieldというソフトで、東大有川研の研究成果です。

おお、これは。>PhotoField

お,田中さんフォローアップありがとうございます.
今度 Photo Field 使わせてもらおうと思ってるところなのです.

EXIFに位置情報と方位が記録されていたら、勝手に地図上にプロットする、とか。。

位置情報と方位までは自動でいくのですが、
「対象までの距離」を指定しないとベクトルにならないので、
そこを簡単に入力できるインターフェイスになってるそうです。

おー、これ面白いっすね。フォトフィールド。

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