2004年11月12日

ジオウォーキングの予感。

夕方、事務所に東大・生産技術研の田中浩也さんが来られ、しばしミーティング(というかおしゃべり)。

田中さんPhotoWalkerの開発者。説明すると長くなるのでリンク先参照ください(田中さんが帰られたあと、事務所の若い連中に「あれはどなたですか」と訊かれ、フォトウォーカーの開発者だと言ったら、ちょっとしたどよめきが起きた)。

PhotoWalkerは、街に接近する手がかりのスケールという点では、「近景」の連鎖を「中景」に翻訳して組み立てて見せるものだ。このアプローチは、地上での「遠景」が稀な、都市部で特に有効だと思う。佐藤さんが、建築「体験」を編集・公開するための道具として応用されている(というか使いタオシておられる)。田中さんによれば、佐藤さんというパワーユーザーからのフィードバックは、Photowalkerのバージョンアップに多大に貢献しているそうである。

次なる「ツール」として、田中さんが作り始めているのは、仮称「Geo Walker」という、「視覚」にフォーカスしているPhotoWalkerとはちがうやりかたで、歩行のリズムやピッチや、建築の床やエレベーターも含めた「土地の起伏」の体験をデータに翻訳して記録できるようにする、「地表系システム」である。開発の参考にラ系の意見感想を採集するために来られたのだった。

「試作品」と、その「再生」を見せてもらったのだが、これがまた、感動的に面白い。会社にゼロックスのJ-Star(Mac開発のきっかけになった、Xerox Starの日本語版ですね)が来たときに見たデモとか、HOKで初めて本格的なCADというものを触ったときとか、西村佳哲にハイパーカードを教わったときとか、しかしどれもこれも古いなあ。最近では初めてeTrexの電源を入れたときだろうか。まあともかく、たまにそういう「う!ここを開けて先へ行くとすごいぞ」という、ちょっとだけ開いている期待の扉の前に立ったような気持ちを味わうことがあるが、Geo Walkerはかなり有望でわくわくさせる夏への扉の予感がするぞピート。


帰路。

終電間近の山手線は混む。

僕は原宿ー新宿間を利用しているが、山手線外回りは、新宿高田馬場池袋方面へ向かう、渋谷で乗り込んできた、ほろ酔い加減の若年齢乗客群がぎっちり詰め込まれた状態で原宿へやってくる。

混んでいるといっても、朝の通勤ピークの押し寿司みたいな混み方にくらべればちょろい状態なのだが、混雑の中の身の処し方というか、車内やホームでの移動には、この時間帯独特の困難さがある。乗客に「満員電車的振る舞いのスキル」が欠落している人が多くて、ひとりひとりが、周囲にほとんど「対応」しようとしない。身の回りの状況をぜんぜん受信していないみたいに見えるのだ。

まあ、ヘッドフォンかけてケータイでメールしたりして、「心ここにあらず」状態だから無理もないが、せめて、ドア際に立ってるくせに、降りようとする「流れ」に対抗して身を固くするという、射程距離ゼロの無意味な突っ張りはやめてほしいんだよな。新宿へ着いたとき、ワカモノが二人、乗降客を混乱させたうえに結局もみくちゃになりながらホームへ押し出され、「なんでこんな混んでんだよ」「あー、松本へ帰りてえ」と文句を言った。止めねえよ。松本へでも南アルプス市へでも帰れよ。あるいは朝8時の総武線で研修してから来い。

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コメント

「終電間近の山手線は混む」で爆笑。
「松本」か〜。おもしろすぎ。東京も時間的条件で「マンハッタン化する」ということか。いや「関西化」と呼ぶべきか。それにしても、久しぶりに「マンハッタンの憂鬱」を読んでみて、「マンハッタン現象」が東京でも常態化しつつあるんじゃないかとさえ感じる。

いまのところ、幸い終電で帰ることはめったにないが、こういう密室型公衆での「射程距離ゼロの無意味な」ビヘイヴィアが、時間や場所に関わらず頻発しているように思うね。電車の中央付近は余裕があるのに、その手前で呑気に「ボトルコルク現象」を起こして知らん顔しているヤツ。そのまた手前で入り口付近から容赦なく加わってくる全圧力に必死に耐えているヤツとかがいる。ボトルコルク現象起こしているヤツを「守る必要」なんてないんだぞ。

内田先生がまた、うまく述べておられる。
http://blog.tatsuru.com/archives/000520.php

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