品川沖のバリアフリー
仕事は仕事で、もうやんなるくらい忙しいのに、実は会社の仕事以外に、依頼を頂いて引き受けた仕事や、下書きしておかなければならない小論の作業などがあり、この連休中はずっとパソコンに向かってキーを叩いて文章を書いている・・・はずなんだけど。
土曜日は終日、なんだかいまひとつエンジンがかからず。無理になんとか書いてみたものの、気に入らない。すこし書いては一休みし、集めて積んである資料をめくったり、ふいにタバコを買いに外へ出たり、庭へ出たり、また机の前に戻ったりしているうちに日が暮れる。うーむ。
日曜日、雑誌の記事のために、朝から品川へ道路を(ひとりで)見に行く。
湾岸線はどこも、江戸時代から続く埋め立ての歴史が年輪のように、街や道路の形に刻み込まれている。特に品川のあたりは、南北に延びた海岸線がそのまま東へ埋め立てられていったため、「埋め立て史」がわかりやすい。京急の青物横丁駅あたりから東へ歩くと、ほんの1.5kmくらいのあいだに、旧東海道、元なぎさ通り、海岸通り、首都高羽田線、モノレール、京浜運河、湾岸道路、JR貨物線、コンテナターミナル、と、「路」のバリエーションをひととおり見ることができる。なんか、「物流の歴史の断面」というおもむきだ。
旧東海道や、そのあたりにときおり抜けている路地はまさに人の歩行のスケールでできている。海岸へ近づくほど、道や建物や車両のスケールが大きくなっていって、八潮の北部陸橋あたりは施設も表示もコンテナやトレーラーのスケールになる。つくづく、近代の道路の歴史は「車輌への対応」だったんだなあと思う。でも予想に反して、コンテナターミナルあたりの巨大で人工的な風景はそれはそれで楽しかった。寒かったけど。
休日のためか、港湾施設の周囲にはほとんど車がいない。大型車輌に最適化された、広々とした道路は、変な言い方だけどすごく「バリアフリー」である。段差も凹凸もないし、急カーブも急な傾斜もない。路面の表示やサインは大きくはっきりと、わかりやすく作ってある。考えてみれば、ハードウェアとしての車道はとても「バリアフリー」な空間である。車道を使えば、全国どこへでも段差・急斜なしで到達できる。車椅子というのは、カテゴリーとしては「車輌」に属している。だから、バリアフリー化というのは、歩道に「車道の論理」を持ち込むことなのだ。


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