2003年10月13日

わたくしです物語。

土曜日の午前中は麻疹の予防接種のために息子を飛田給の駅前の小児科に連れて行き(しかし息子が風邪気味のため延期になった。風邪薬を処方してもらって帰ってきたのでまったくの無駄足ではなかったけど)、午後は新たに導入した食器棚を我が家の屋内のレイアウトにはめ込むべく、けっこう大々的な配置換えをした。限られたスペースにモノが詰め込んであって、ほとんど物置の中で生活しているような案配なので、何かしようとするとドミノ式に様々な家具の配置に影響が及び、机や本棚やその他をあっちこっちへ移動することになって、キッチンの模様替えなのに、僕のパソコン机の横に本棚を配置するためにノコギリで高さを調整する、というような作業へ波及するのである。

大汗をかきながら本やCDの山をあっちへやったりこっちへやったり、棚を分解したり組み立てたりしているうちに、同じく風邪気味だった僕の熱が上がってきて、調子が悪くなり、布団を敷いてひっくりかえる羽目になった。

妻は夕方から、ロンドンのインチボールド・デザイン学校の同窓会に出かけた。身内が留学したから言うわけじゃないが、インチボールドは、少なくとも当時、庭の「デザイン」を教える学校としてはもっとも厳しい、密度の濃い、いいカリキュラムの学校だったと思う。卒業して5年、妻のクラスメイトはそれぞれ、造園の設計事務所に勤めたり、独立してフリーのデザイナーをしたりして、頑張っている。

いまではそれほどでもないが、彼女らが帰国した当時、「イギリスでガーデンデザインの勉強をしてきました」という、特に女性に対する、日本の造園施工系オヤジ群の偏見と反感はすさまじいものがあった。たしかに稚拙で未熟な「デザイナー」も多かったけど、僕の見る限りでは、インチボールドでトレーニングした連中はそれなりに鑑賞眼も表現力もあったし、造園オヤジが作り始めていた、婦人雑誌のグラビア見よう見まねのおぞましい庭よりは270倍くらいマシなものを作ろうとしていたと思う。頑張れインチボールド同窓生。

僕の方は一晩眠っても熱が下がらず、日曜日はそのまま一日中ごろごろしていた。手元にある未読本は「レヴィナスと愛の現象学」とか「最後のモード」とか、病人が読むたぐいの本ではないので(いや、別に体の調子がいいときにはすらすら頭に入ってくるというわけでもないけど)、本棚から久し振りに山本周五郎の文庫本を何冊か持ち出して横になり、寝返りをうちつつ、眠ったり目覚めたりしながら、「深川安楽亭」とか「町奉行日記」とかを読み、なんだかすっかり頭が江戸の下町で埋まっちまった。たまにゃあ風邪で寝っ転がって過ごすのも悪かねえ。

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